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Q.E.D.証明終了(13)

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【災厄の男】お騒がせ男、アラン初登場。レンブラントの作品をめぐる攻防。 & 【クラインの塔】不思議な塔で発見された死体。自殺か、他殺か。


タイトル Q.E.D.証明終了(13)
著者 加藤元浩
レーベル 講談社コミックス
初版発行 2002年9月17日
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あらすじ

災厄の男

迷惑男、現る

アラン・ブレード。パソコンOSのシェア90%を提供する大企業の会長。燈馬の元に現れたアランは、4月1日にお互いを騙し合うゲームをしようと提案。アランが勝ったら燈馬に、オレの会社で働けと命令してきた。燈馬はやりたくもない対決をすることに。アランは大量のレンブラントの絵画を購入。それを船上公開していた。そのレンブラントの絵は、盗品かもしれないという──。


クラインの塔

奇怪な形をした塔

関東から東北にかけて分布する3階建ての観音堂、さざえ堂。燈馬は”黄泉の塔”と呼ばれる、さざえ堂と似た作りの塔の調査を依頼され、とある村に。燈馬たちは、さっそく調査を開始。塔を管理しているのは、頑固ばあさん。塔を観光名所にしたい村長は、彼女におべっかを使うばかり。ばあさんの娘、その彼氏も、だいぶ手を焼いていた。そんな折、ばあさんが行方不明になり──。


—以下ネタバレ感想—

犯人、トリックについても言及しています。

ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。

災厄の男

わかったよ! オレの負けだ!! あの絵はオランダに寄贈する!!

没収されるぐらいならこっちからくれてやる!! 文句あるか!?

 

燈馬が利用したのは、便宜置籍国(べんぎちせきこく)。

便宜置籍国
税金を減らしたい国々を相手に舟の登録を誘致している国のこと。パナマ、リベリア、キプロスなんかが有名。

船籍は持ち主の都合で変えられる。重油流出事故などを起こしたタンカーの持ち主は、便宜置籍国のせいにする。逆に利益があがったときは持ち主の国籍の手柄にできる。

船上美術館として運用していた舟には、パナマの国旗が掲げられていた。もし日本の領海12海里を超えて公海に入った場合、船内は自動的に船籍のある国の法律下に置かれることとなる。

燈馬はこれを利用して、美術館となっていた船をあやしい小船で追い回し日本の外へと追いやったのだ。船の持ち主がオランダ国籍だと主張すれば、アランの絵は没収されることとなる。

自分勝手な男、アラン初登場の回でした。

燈馬はこの後何度も、彼に対し頭を悩ませることになります。

便宜置籍国は、何度暗唱しても覚えられない。言いにくくないですかね? 便宜置籍国便宜置籍国便宜置籍国……。

 

ハリ
ハリ

べんきちこくせき……、べんぎちゅせきゅこく……。

 

これって便宜/置籍国ってことですよね? 頭の中だと便宜置/籍国で切ろうとしてるからおかしな感じがしてるんでしょうね、きっと。便宜”地”/籍国ってなんかありそうですし……。

自国産業が乏しい国が籍を売ることで、お金を得ているそうです。

それにしても持ち主の都合で国籍を変えられるのは、なんとも不平等に見えるけど、実際はそうでもないのかな。

アランは苦し紛れに、オランダ時間では今日は4月1日じゃないと主張。

しかし船の中は、協定世界時間が適用されるので今日は4月1日だよ、と燈馬に論破され、アランはなくなくレンブラントの絵をオランダに寄贈したのだった。

レンブラント
ネーデルラント連邦共和国(現在オランダ)の画家で、バロック期を代表する画家。レンブラントの絵画とされるものは、弟子の描いたものも混じっている。レンブラントは自分の弟子に、レンブラントの名前で絵を発表させていた。

潔く負けを認め豪快な寄贈を見せるアラン。彼らしいというかなんというか。

ついでにエリーも初登場。登場コマはなんとなくに視線がいってしまう。

この回では珍しく、水原が何度も悶えています。

原因は前回の最後のあれ。

燈馬の姿を見た水原が、安堵から思わず彼に抱き着いてしまったから。

もんもんとしている水原はかわいいですが、燈馬はなにも気にしていない様子。それがまた水原をやきもきさせます。

ハグは海外では普通だから、という答えにたどり着き水原が地面にQ.E.D.と書くシーンが、個人的ベストシーンですかね。


クラインの塔

この村にはこれといった観光の名所もないからな……。

村長になってもう20年目になるが……若い者はこの村をどんどん離れさびしくなるばかりだ。

だから、この不思議な塔を売り出せば少しは人が集まるかと思ってな。

 

犯人は、村長。

塔の秘密を闇に葬るため、ばあさんを殺したのだった。

嫌味なばあさんに見えて、実はみんなのことをよく考えていたいい人でしたが、村おこしに躍起になっていた村長に殺されてしまいました。

動機としてはどうなんでしょう。

隠し部屋があったらあったで観光名所としては面白いのでは、と思わなくもない。

ただまぁ、不思議な力を村おこしに使おうとしていた村長にとっては、不都合な真実だったのでしょうね。

燈馬が黄泉の塔の秘密を看破できたのは、出口と入り口のスロープの位置がおかしいから。

1階のスロープは対称に配置されているのに、4階のスロープは位置がずれてしまっていた。

 

ハリ
ハリ

はっきりとマンガに描かれてたもんね!

 

キレイな螺旋階段になっているなら、絶対にありえないこと。

つまりこの階段はどこかが急こう配になってゆがんでいるのだ。角度の違いがわからないように補正までなされていた。この補正部分は、外から判別できない隠し空間となっていたのだ。

ばあさんの死体は隠し部屋に隠し、頃合いを見て出現させる。こうして自分のアリバイをつくったのだった。

とっさの犯行にしては、よくやりとげましたな、村長。

今回水原は大人しめ。派手な潜入捜査や追跡などはなく、ラブの出歯亀やアリバイ証言で出番はほぼおしまい。

さざえ堂って実際、見たことあったかなぁ。

さざえ堂
階段がらせん状になっており、入り口と出口が別々にある。1本道でありながら、3階建ての各階を1巡できるめずらしい構造の観音堂。

クラインの壺について説明する燈馬。

クラインの壺
終わりかと思ったら始まりに戻る不思議な壺のこと。

最後に燈馬が黄泉の塔の写真を撮ろうとして、水原がそれを妨害。マンガの冒頭部に繋がり、無事燈馬たちは無限ループに突入したのでした(笑)。

いいですね、こういうオチ。Q.E.D.らしくて。

以上、Q.E.D.証明終了。

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