【封泥】粘土で封じられた、交易に使われた壺。消えた中身の謎。 & 【老婆と猿】密室で亡くなった老婆。ペットのマントヒヒの処遇。 & 【張の幽霊】香港で見つかった飛び降り死体。幽霊が見えるようになった女優。
タイトル | C.M.B.森羅博物館の事件目録(12) |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 2009年10月16日 |
C.M.B.森羅博物館の事件目録(12) https://t.co/F5PmcPc6np
— ウエスト記伝 (@west_kiden) January 23, 2019
あらすじ
封泥
古代バビロニアの壺
森羅の養父の1人、レイ。彼と森羅が訪れたのは、フランスのルーブル美術館。壊さなければ中の物を取り出せないはずの、古代の壺の中身が煙のごとく消え去る事件が発生していて──。
老婆と猿
森羅とマントヒヒ
蔵の整理を手伝うことになった森羅。屋敷の持ち主のトキは最近、身体の調子が悪そうだった。トキの死を望む人間たちが屋敷に泊まるというので、七瀬も1泊することになったのだが──。
張の幽霊
お化けの正体は
女優、張は最近、幽霊を見てしまう体質になってしまったそうだ。彼女の恋人とされた王は、飛び降り自殺をしたばかり。もしかしたら王は、張に殺されたのではないかと推理されたが──。
—以下ネタバレ感想—
犯人、トリックについても言及しています。
ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
封泥
森羅! レイと二度と付き合っちゃダメよ!!
犯人は、マティラ。
(たぶん)金のための犯行。
–
具体的には書いてないけど、レイ博士が「~売りさばくなんて一般人には無理」と言っているので、動機はたぶん売却して金儲けでもしようとしたんだと思う。
いったい、どこに売りさばくつもりなんだろう。すぐに足がつきそうなものだが。まぁこういうときにこそ、マウの出番なのかもしれないが。
舞台はフランスのルーブル美術館。
メソポタミア文明で貿易で使われた壺。封泥されていたのに、中身が消え失せてしまいました。
紀元前5000年ごろからすでに用いられていたらしい。現代人の上から目線的考えかもしれないが、古代の人たちがよく思いついたもんだ。
森羅の父親の1人、レイ登場。
破天荒というかあまり危険を顧みないというか。探求のためなら多少のリスクなどものともしない性格のようです。
母親からしたら、たまったものではないかもしれない。大事なわが子を水にぶん投げられたわけですからね。まぁ森羅は喜んでいるようでしたが。
七瀬の立ち位置は恋人というより、母親のそれに近いですね。
トリックは、タオル。
そんな簡単に開くんか~い、というのが正直な感想。ずるがしこい奴がいたら、当時でも中身をくすねることができたのかな。
タオルという物体がなくても、なんらか似たような物品が1つくらいはあったのではなかろうか。まぁひび自体が消せるわけではないから、すぐバレちゃうかもしれないけど。

レントゲンを修正するのも大変そう……。
マティラはあんな衆人環視の中、森羅を襲うメリットはあるのだろうか。殺すより、さっさとトンズラする準備をしたほうがよさそうなもんだが。
老婆と猿
おいで!
バナナに毒を盛ったのは、日ノ暮早夫。
マントヒヒを殺そうとしただけだった。
–
邪魔なマントヒヒを殺害しようとしたのに、誤ってお婆さんを害してしまったお話でした。
マントヒヒってペットとして飼えるのかな? 「マントヒヒ ペット」で検索しても、うまく調べられなかった。チンパンジーはどうやら、ダメらしいが。
ペットに遺産相続できるのかどうかは、現実世界でも起こる話題。
日本では基本的にペットは”物”扱いなため、正規ルートで遺産は残せないようですね。一応、負担付き贈与とか、信託による財産分与ならできなくはないようですが。
アメリカでは、認められている州も多いそうな。
犯行に使われたのは、テトロドトキシン。
解毒薬はない。一応マヒ毒なので、外部から酸素を送り続ければ助からないこともないらしい。
殺すつもりはなかったのに、お婆ちゃんを殺害してしまった早夫はドンマイ。
一般的には相続のために殺人を犯した場合、相続人から外されるものだと思うけど、こういうケースだとどうなるんだろう。
サブキャラ、ヒヒ丸登場回でもありました。以降、博物館の使用人の1人としてたびたび出てくることとなります。
張の幽霊
犯人をあぶり出したのは、刑事でも幽霊でもない……。
殺人犯を演じ続けた美しい女性だったんだ。
犯人は、周。
張を守るための犯行だった。
–
守るため、というとカッコよく聞こえますが、今回のはだいぶ利己的で身勝手な動機でしたね。そもそも勘違いですし。王はこれじゃ、浮かばれない。
幽霊の演出、ちょっと力入りすぎじゃないですかねぇ。普通に怖いんだが。
3か月という長期間、幽霊が見える演技をやり続けた張はお見事。船から落ちたりプールで溺れたりと、気合の入った演者でしたね。下手したら死んでますよ。それほどまでに、王の一件は許せなかったのでしょう。
打小人が登場しました。
嫌いな人間に呪いが届くらしい。
そんなもん、街中で堂々とやっていいのかと思ってしまうが、啓蟄の日には大盛況になるとか。外国人向けの観光スポットでもあるみたいですね。
トリックは、氷。
ううーん、わりとトンデモトリックに足を踏み入れている気もするが……。あの氷の造けいは、文化財として保存したくなるくらい美しい。
まぁ話の主軸はあくまで”幽霊関係の思惑”ですから、多少はね?
ハーミーガーキーコと、ちょっとあれな呪文で占う黄先生。まったく当たらないそうだけど、「お前この人と結婚するのか!?」という何気ないセリフは、もしかしたら的中するかもしれない。
Q.E.D.の方では、女優と刑事がゴールインする話もあったしね。
⑪へ
⑬へ
コメント欄