【虹の彼方のラマヌジャン】マフィアの抗争で揺れるインドの街。博識なスラム街の少年の行方は。 & 【ある興行師】3人の不可思議な関係性。大阪にいた興行師のお話。
タイトル | Q.E.D.iff -証明終了ー(7) |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 2017年6月16日 |
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— ウエスト記伝 (@west_kiden) January 4, 2019
あらすじ
虹の彼方のラマヌジャン
死んだ数学者の亡霊
インドにて、数学者ラビイが強盗と思われる人物に殺害された。生前ラビイは、アルジャンというスラム街の少年に目をかけていた。インド出身の伝説の数学者、ラマヌジャンを彷彿とさせるアルジャンに、ラビイは奨学金を与え大学に行かせようとしていた。アルジャンの居場所を探すため、燈馬たちはインドのニューデリーへ。その街は今、なんとマフィアの抗争で揺れており──。
ある興行師
車から消えた自殺死体
郷土史家、藤原はとある事件について調べていた。1964年大阪にて、夢田が車内で焼身自殺を図ったというのだ。しかし車の中からは、死体が発見されなかった。夢田は興行師であり、芸人を集めて興行を打つ仕事をしていたという。夢田の自殺を目撃していたのは、漫談家のツバメ、芸妓の一ノ瀬。夢田とツバメと一ノ瀬、調べてみるとこの3人は面妖な人間関係をしており──。
Q.E.D.iff -証明終了-(7) (講談社コミックス月刊マガジン)
—以下ネタバレ感想—
犯人、トリックについても言及しています。
ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。
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虹の彼方のラマヌジャン
今決めたこの瞬間を忘れなければ、きっとうまくいくよ。
ラビイが死んだ原因を作ったのは、ヴァサント。
奨学金についてしつこく言い寄ってくるラビイに困っていることをマフィアに言ったら、殺してしまったのだった。
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今度の舞台は、インドです。
インドと言えばターバンなイメージですが、ターバンをするシーク教徒は全体の2%しかいないらしい。まぁ2%とはいえ、インドの人口を考えれば相当いますけどね。
双子素数という単語が出てきました。
素数にもいろいろあるんだなぁ(白い目)。
ラマヌジャンという、伝説的なインドの数学者がいたらしい。
どこの国にも、天才数学者はいるもんですな。
亡霊のトリックは、ランゴリ(のようなもの)。
床に文様を描く錯覚トリックは、金田一のスピンオフ『高遠少年の事件簿』にもあったかな。まぁあっちは正確にいうと、文様ではなかった気もするけど。
インドといえば、クリケットの本場。
『巨人の星』のクリケット版が、インドで放映されたらしいですね。
インドとマフィアはあまりつながりが見えないような気もしますが……。検索してみると、わりといるみたいですね。今日日、犯罪組織のない国なんて存在しないのかもしれません。
拳銃であんなにパンパンし合っても、死者は7人しか出ないものなのか。喧噪の中で、地面の絵が消えてしまうのはよくできている。
奨学金が必ずしも、人を幸せにするわけではない。「オレ……大丈夫かな?」と未来を不安視するアルジャンに、保証はない、と燈馬は返す。
安易な慰めは意味がない、という燈馬らしい言葉かもしれない。
Q.E.D.シリーズではラストシーンで、やっぱり行かない、系の落ちが多かったような印象ですが、この話では海外に飛び出ることで決着となりました。
ある興行師
アホみたいなもんでも……心に触れる芝居があるんや。
木戸銭や思ては払うたけど、えらい高ォついたわ。
夢田は、自殺していない。
ツバメが、何人も人を演じていたのだった。
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1960年の大阪で起きた、奇妙な出来事を題材にしたお話でした。
このトリックを、初見で見破るのは結構難しいかもしれない。
夢田=ツバメまではたどり着けても、夢田=ツバメ=鶴子は見抜きにくいと思う。性別跨いでまで同じ人とは、思わんだろう。
そりゃ登場人物も、ええっ! と叫びますわ。

漫談家だから、できた芸当かもしれないね。
『必ず一緒にいない』『絶対に離れないほど仲がいい』
これで燈馬ばりに推理できる読者さんって、いるのかな?
現代でこの入れ替わりトリックは通用しないかもしれませんが、時代背景が1960年代となれば、まったく荒唐無稽な話でもないのかもしれない。
このお話のある意味主人公である、山川。
やくざの親分でありながら芸に憧れ、夢田に出資し続けました。入れ替わりの真実に気づいていながら彼のことを思って、自分が死んだと偽装するなど、なかなか男気にあふれております。
ところで、本は無事に出版が叶ったのでしょうか。
山川が生きているとなると、許可を頂かないとまずい気もしますが……。
「私は全然OKです」
吹っ飛ばされた燈馬ではなく、水原がそう返答。さすが、彼女はぶれないなぁ。
以上、Q.E.D.証明終了。
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