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Q.E.D.証明終了(36)

マンガ
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【黒金邸殺人事件】ゼノンのパラドックス『静止する矢』。弓矢はどこから飛んできたのか。 & 【Q&A】引退を考えている銀行家。後継者の選出を燈馬に依頼。


タイトル Q.E.D.証明終了(36)
著者 加藤元浩
レーベル 講談社コミックス
初版発行 2010年6月17日
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あらすじ

黒金邸殺人事件

不可解な軌道を描く弓

燈馬と水原は京都へ。黒金教授が亡くなり、とある人物が事情聴取を受けるから、燈馬も手伝ってほしいということだった。その人物烏丸は奇行が目立ち、とても陣内准教授だけでは手におえないかららしい。案の定、警察相手に烏丸は不遜な態度をとり怒りを買う。遺書がなく、黒金教授が自殺なのか判断できず、警察も困っていた。彼の亡くなった部屋は密室に近い状態にあったが──。


Q&A

事業の後継者選び

燈馬は引退を決めた銀行家ロスフェラーの依頼で、とある孤島へ。真面目なお仕事だったのだが、水原は勝手に同行。依頼内容は、後継者の選別。ロスフェラーの4人の子供の中で「誰が適任か見極めてほしい」ということだった。いざ選別、というそのとき、孤島で様々な怪奇現象が起こる。受電設備のスイッチは切られガスの元栓は閉じられ、挙句の果てに船が大爆発大炎上し──。


—以下ネタバレ感想—

犯人、トリックについても言及しています。

ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。

黒金邸殺人事件

若い連中が科学の未来の扉を開くと信じて手を貸してきた。

だが下の味方をするということは、上を敵にまわすということだ。

私も疲れたんだ。そろそろ見返りをもらってもいいだろ?

 

犯人は、陣内。

黒金教授と志田を殺し、その罪を烏丸になすりつけることにより、ノーベル賞レベルのアイデアを自分のものにできると考えたから。

長年若手の育成に尽力してきた陣内。そろそろ見返りが欲しかったのだ。

弓を飛ばすのに用いた物体は、庭石。

 

ハリ
ハリ

い、石……?

 

3階にいた陣内。そのままでは志田を射貫くことができない。しかし庭石に1度バウンドさせることにより、弓矢をありえない方向に飛ばしたのだった。

目の前の美味しいそうなエサのために、愚行に走ってしまった教授のお話でした。

2人も殺したうえに、信頼してくれていた生徒に罪をなすりつけようとした陣内。ここだけ切り取って見ると、Q.E.D.の中でも結構上位に入る胸糞な犯人かもしれません。

もっとも、陣内はいままで相当苦労していたのでしょう。下を支え上から睨まれと、立場でいえば中間管理職的立ち位置にいたのかもしれません。

「そろそろ見返りがほしかった」そう涙を流す陣内。今までの気苦労がうかがえます。

しかし教授連中はともかく、変人だけど信頼してくれていた烏丸を裏切った時点で同情はしにくいかなぁ。

作中で、ゼノンのパラドックスが出てきましたね。

ゼノンのパラドックス
エレア派のゼノンの議論で、特にパルメニデスを擁護してなされたいくつかの論駁を指す。

『静止する矢』が話題になりました。

飛んでいる矢は止まっている
飛んでいる矢は常に動いている。だがその一瞬を切り取れば矢は止まって見える。止まっているものは動かないはずだ。では、なぜ矢は動いているのか?

数学的に言うと、その瞬間を切り取った矢は静止していない、動いている。だ、そうです。

瞬間の動きを見るための数学の道具が微分と燈馬は言う。いや~、あいかわらず何言ってんだか私にはわからん。頭をかく、水原の気持ちがよくわかる。

烏丸は茶碗が動いていることを言いたかったそうです。いや、わからんて。燈馬も言ってるけど、不親切すぎるって。

黒金教授の部屋から脱出した方法は、床に這いつくばることだそうですが……。この寒い中床は冷たいだろうに、ご苦労なことです。

さて本作のメイントリック、弓矢の軌道に関してですが……。

最初に読んだときは、そんな無茶な、というのが正直な感想でした。どんな曲芸やねん。

3階からだと直接狙えないから、庭岩にあてて軌道を変える。思いついても、なかなかできるもんじゃないよ。

何度も試し撃ちして軌道のチェックをしたそうですが、近所の住人から通報されますって。

これが100%狙ってできるのであれば、陣内准教授は自分の生き様を間違えた。彼は弓道家になるべきでした。

Q.E.D.の中でも五指に入るトンデモトリックかもしれません。

 

ハリ
ハリ

ちょっとびっくりした……。

 

でも私、わりと嫌いじゃないですけどね(笑)。

弓道にも掃き中り(はきあたり)という、ワンバウンドして当たることがあるとか。1回、間近で見てみたいものですね。


Q&A

どうか……引き受けてもらえないか?

あの子達のことをよく知っておきたいんだ。

 

犯人は、燈馬(と管理人とその息子)。

ロスフェラーの依頼が燈馬に依頼したことは、後継者の選別。

その内容は、一番の役立たずを探すこと。

燈馬と管理人たちは様々なハプニングを起こし、子供たちの対応力を見ていたのだった。

主人公である燈馬が犯人、というお話でした。

ロスフェラーのお願いを燈馬は最初断ろうとしていたんですよね。でもロスフェラーはガンにかかり余命が短い身。

ある意味恩師である彼のお願いを、燈馬は無視できませんでした。

冒頭で燈馬がやたら”仕事であり遊びじゃないこと”を強調していたのは、ロスフェラーの決死の思いを感じてのことだったのかもしれませんね。

 

ハリ
ハリ

不真面目にはできないもんね!

 

ロスフェラーの狙いは、役立たずを探し出すこと。

指示”待ち”人間もダメかもしれませんか、偉そうに指示”だけ”出す人間もいらない。

長男イアンは高圧的にあれやれこれやれと命令するだけで、自分では何もしなかった。燈馬は彼こそ”役立たず”と認定しました。

まぁ時には強引に支持出す人が必要な場面があるかもしれませんが……。

他の3人が自分の足で問題解決に動いていたのに(水原と優ですら食事を担当)、自分は指示だけ出して働いたていになっていてはね。”役立たず”判定もやむなしでしょうか。

今回の話は内容のわりに、ちょっと読みにくい演出だったかなぁという印象。いえ、意図してそうしてるのはわかるんですがね。

冒頭で燈馬が話している影が、他の人たちが話している影と別人。他の人たちが話しているのは実は”燈馬”という描き方。

錬金術の詩になぞらえて、まるでもう1人誰かが(詩でいう質問者)いるかのような演出だったのでしょう。

それはまだいいのですが、時間軸が何度か行ったり来たりするのを交えると、ちょっと読みにくかったかなぁ、という印象ですかね(あくまで個人的感想です)。

『それは自然の摂理に反している』。

金の作り方を訊かれた錬金術師がアラブ学者に返した詩には、そういう意味が含まれていました。

なんともまどろっこしい(笑)。直接そう言えばいいじゃん、というわけにもいかなかったんでしょうなぁ。学者はそれじゃあ納得しないでしょうし、うまいあしらい方だったのだろうと想像できます。

爆破されたあの船、いくらしたんだろう……。

以上、Q.E.D.証明終了。

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