【災厄の男の結婚】アランとエリーの結婚式が間近に迫っていた。しかし彼らの作った財団に怪しい影が……。 & 【母也堂】車内での密室殺人。お金をせびりに来た者たちが次々と亡くなる謎。
タイトル | Q.E.D.証明終了(34) |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 2009年10月16日 |
あらすじ
災厄の男の結婚
銀行がやらかした失敗
アランと秘書のエリーの結婚がせまっていた。お祝いムードの中、2人の財団『アラン&エリー財団』に不穏な影が。それはW銀行。世界最大の開発銀行だが、失敗例が多いことで有名。評判の悪いW銀行は、話題の財団にすりよりイメージアップを図りに来ていたのだ。財団はアフリカの難民キャンプで支援活動を行っており、W銀行がそこで食料を勝手にバラまいたらしいが──。
母也堂
娘を想う母の愛情?
水原は中学時代の同級生、涼に会うため岩手県へ。当然、燈馬も同行。涼は飛込選手であり、次の大会で優勝すれば全国大会へ行ける。水原たちはその応援に来たのだ。涼の家は大きな屋敷で、普段は波里、涼、家政婦の3人で生活しているという。涼の両親は離婚済み。波里へとあいさつをしていた燈馬たち。そこに警察が。なんと涼の父、深津が車の中で射殺体となって発見されて──。
Q.E.D.証明終了(34) (講談社コミックス月刊マガジン)
—以下ネタバレ感想—
犯人、トリックについても言及しています。
ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。
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災厄の男の結婚
お前は幸せだな。たくさんの”正解”の中で生きられて。
オレ達がプログラムを組んでたときは、1つの正解を見つけるのが死ぬほどに大変で。
それを見つけたときは、最高に嬉しかったよ!
W銀行がやらかした失敗は、食料のバラまき。
飢餓状態の人間に、いきなり食べ物を与えてはいけないのだ。
飢えた状態の人間は、臓器の力も免疫力も落ちている。水を飲ませただけでも死に至るケースすらある。医療の専門家が、ゆっくり治療しなくてはいけない。
それなのにW銀行は、難民キャンプという飢えた人間の多い場所で食料をバラまいてしまった。その結果、重体になる者や死者を多数出してしまったのだ。
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お騒がせ男アラン、ついに結婚!
結婚まであと少し、というところで騒動に巻き込まれる当たり、彼はそういう星の元に産まれたのでしょうかね。
最近W銀行がやらかした失敗例として、『水の民営化』があげられていました。
水道料金を2~5倍まで跳ね上げ、払えない者は泥水をすする事態に。
2018年現在、ネットを中心に日本でも話題ですが、はたしてどうなることやら。
『飢餓状態の人間が、急に食料を摂ってはいけない』
リフィーディング症候群というそうですね。
日本でも秀吉が兵糧攻めで、似たようなことをやってしまったそうな。飢えで苦しんでいた人たちに粥を与えたところ、死んでしまったとか。
知らない人はかなり多いかもしれませんね。そもそも現代日本で飢える人は少ないでしょうから、必要のない知識かもしれませんが……。
高齢者でも起こりうるので、知っていて損はないでしょうね。
W銀行は良かれと思ってやったことで、食料のバラまきで助かった人もいたかもしれませんが、死者が出ている以上隠匿は許されませんね。
『水の民営化』は2018年現在、ネットを中心に日本でも話題ですが、はたしてどうなることやら。
世界銀行がボリビアで水の民営化をやった結果、だいぶ悲惨なことになったそうですが……。
『無関係なことで燈馬君に解決を迫るなんてスジが違うじゃない』
なんか水原がとんでもないこと言ってる……。お前が言うか、とロキにすらツッコまれてますよ。
無事厄介ごとを解決したアランとエリー。
なんとか結婚式をあげることができました。
アランが好き勝手暴れるのを防ぐために、エリーにはなんとか頑張ってほしいものです。
母也堂
あんたは私の自慢の娘だ。強くて立派でキレイで……。
涼のこと頼んだよ。
事件の黒幕は、波里。
娘や孫の幸せを脅かす敵を排除するために、2人を始末したのだ。
深津が密室状態の車内で死んでいたのは、自分で撃ったから。
「金がほしいなら自分で腹を撃ちな」と波里に言われたからだったのだ。
粟金が心臓マヒで死んだのは、氷のせい。
下のプールには氷が忍ばせてあり、冷水が下にたまった状態だった。そこにいきなり飛び込んだ粟金は、心臓マヒを起こしたのだった。
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娘や孫の驚異となる者を排除するための、お婆ちゃんの犯行でした。
1つ目の事件は、撃ったのは自分、車をロックしたのも自分というオチでした。理屈も理由もわかりやすく、いいね。
お金のためとはいえ、自分で腹を撃つのはそうとうな度胸が必要でしょうなぁ。
2つ目の方は、トリックはともかくとして、現実問題としてそれは物理的に可能なのかという思いが先行してしまう。
その巨大な氷どっから出てきたんや、お婆ちゃん1人で運ぶのはきつくないか、どうやってプールサイドに持ち込んだんだ、とかね。
まぁ私はあんまりそういうのは気にしない方だけど。
ただお婆ちゃんが、プールに氷をツッコむシーンはちょっと笑っちゃった。
未必の故意による殺人、ですかねぇ。はたして刑期はいかほどになるのか。
母也堂という話が、作中に出てきました。
長雨によって貯水池の堰が破れてしまう。巫女は娘のために一計を案じ、婿を人柱にし葬りさることに。
しかし娘は、ともに人柱になることを主張。2人は池に沈んだ。
娘の死を嘆き悲しんだ巫女は、自らも池に身を投じてしまう。
という悲しいお話です。
いつの世も、娘を想う母親はなんでもするんですね。
以上、Q.E.D.証明終了。
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