【パラドックスの部屋】アパートの1室で、ミイラ化した男性を発見。彼の人物像が一致しない理由とは? & 【推理小説家殺人事件】小説家が風呂場で亡くなった。事故かと思われたが、死亡した状況が生前に話していたトリックと酷似。
タイトル | Q.E.D.証明終了(33) |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 2009年6月17日 |
あらすじ
パラドックスの部屋
一致しない男性像
アパートで、ミイラが発見された。行方不明だった借主、峰山と確認された。しかし生前の彼を語る3人が話す峰山の人物像が、一致しない。元妻が言うには、資産家で正義感が強い。アメリカの大学を出ていて、本業はライター。友人が言うには、普通の中級家庭で正義感はない。バイトをしながら俳優を目指す。不倫相手が言うには、貧しく大学に行けなかった。乱暴な性格と言い──。
推理小説家殺人事件
そのトリックを知っているのは3人
若手推理小説作家、東中が亡くなった。湯船につかった状態で見つかった東中は、事故ということで処理された。立ち眩みでふらつき頭を壁にぶつけ失神。そのまま湯舟に落ち溺死した、と。しかしこれに異を唱える人が。推理小説家仲間の榎木、舞竹である。「壁の材質と同じ素材で殴って気絶させる。風呂に沈めて溺死させれば完全犯罪さ」一週間前、東中自身がそう言っており──。
Q.E.D.証明終了(33) (講談社コミックス月刊マガジン)
—以下ネタバレ感想—
犯人、トリックについても言及しています。
ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。
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パラドックスの部屋
最後に1つ聞きたいんだけど……。君達、峰山のこといろいろ調べたよね。
実はオレも自信がなくてね……。参考までに教えてくれないか。
峰山辰夫って……どんな人間だった?
峰山は、普通の人。
バイトや部活も、大学でも勉強も、演劇や音楽もほどほどにやっていた普通の男性だった。
実は元妻と浮気相手に接点はなかった。
唯一2人を知っていて真実を知っていた友人が、情報をコントロールしていたのだ。
死者の秘密を守るために、友人は本当のことを言わなかったのだった。
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摩訶不思議な人物かと思われた峰山が、実は普通の人だったというオチのお話でした。
パラドックスという単語は、よく聞きますよね。
それが示している内容が矛盾を起こしている状態。
「”僕は嘘をついている”。これは”本当”か”嘘”か」という燈馬の問いに対して「あんたは無茶を言っている」と返す水原がいいね。
元妻は、だいぶキテる人でしたね。残念な美人でした。
ミイラの顔は写さないのか、と思わせてからの時間差ミイラのご尊顔。嫌いじゃない、その手法。
びっくりしちゃった。
即身仏(ミイラみたいなもの)になるには、厳しい修行がいるとドラマ相棒でやってました。
峰山はよく、干からびるまで押し入れの中に入っていられましたね。そこまで追いつめられていた、ということなのでしょう。
今回は水原の友人、久長が終始捜査に加わっていましたね。
ぶっちゃけいてもいなくても捜査に進展はなかったような気がしますが、たまには女性成分多めの捜査作業もいいものです。
そのトーテムポールはどっから出てきて、何キロあるんや、という原始的なツッコみを入れるのは無粋ですかね(笑)。
29巻で、100kgの金庫を持ち去る話がありましたが、水原1人で金庫ごと盗めそうですな。
推理小説家殺人事件
いいアイデアだったんだ……。
面白いミステリーが書けるはずだったんだ……。オレ……自信あったんだ。
犯人は、舞竹。
『風呂の材質と同じ素材のもので頭を殴りそのまま溺死させる』というアイデアは、実は舞竹のものだった。
そのトリックを聞いた東中が、面白半分にみんなの前で口にしてしまったのだ。
これが殺人の動機。
以前、東中のトリックを盗んだ舞竹は、「それはボクのアイデアだ!」と主張できなかった。
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とっておきのトリックを、知り合いとはいえ同業者に暴露されてしまった小説家の犯行でした。
ライトノベルミステリーって結構貴重なんですよね。マンガ内のこととはいえ、貴重な小説家が殺人を犯して残念でなりません。
人殺しはもちろんダメですが、信じていた友人に裏切られた舞竹もかわいそうな気がします。前に1度、東中から盗作しているとはいえ。
というかなぜ、東中はいきなり暴露なんてしたんや。あまり理由がない気がする。だからこその、面白半分という表現なのだろうけど。
新聞紙を使った密室トリック、わりと好き。実際できるかどうかは別にして、こういう単純で納得できそうなもののほうが私は好みなのでしょうね(もちろん、こんなの現実的じゃねぇという方もいるでしょうが)。
燈馬が事故でないと断定したのは、東中の死体の位置。
東中のおしりが風呂の栓のあるほうにあったから。そんな風呂の入り方をする人は、まずいない。つまり犯人がミスったのだ。
実際問題として、この風呂場のトリックを現実で用いたら、警察は事故として判断することがあるんですかね?
もうちょっとちゃんと調べてくれよ、と素人目には見えてしまいますが……。
「グラフで囲まれた部分の面積を求めろ」
冒頭の数学の問題。こういうのホント苦手。
そんなぐにゃっとしているところ求められるわけないじゃん、という負け犬の思考がまず浮かびます(笑)。いや、マジ苦手なんですって。
水原の数学撲滅を願う気持ちが、ほんの少しだけ理解できます。
以上、Q.E.D.証明終了。
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