【ファラオの首飾り】第2のツタンカーメンの呪い!? 燈馬のいとこ、森羅登場。 & 【人間花火】花火師のとんでもない凶行。亡くなった人が風化する絵はなぜ描かれたのか。
タイトル | Q.E.D.証明終了(28) |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 2007年9月14日 |
あらすじ
ファラオの首飾り
燈馬のいとこ、登場!
エジプトに来た燈馬と水原。燈馬の知り合いトマスが王墓を掘り当てたそうだが、運悪くケガをしてしまったらしい。トマスの依頼で、燈馬が王墓を調べることに。実際に現場に行ってみると、疑わしい部分が。発見された首飾りを鑑定するために、燈馬はいとこの森羅を呼び寄せた。森羅の見立てによると、ピラミッドが作られた時期と首飾りが作られた時期が違うらしいが──。
人間花火
ホラーただよう花火師の話
妖怪民俗学の講義を受けている燈馬と水原。講師、高柳と燈馬は知り合いらしい。高柳の友人、奥本には心配事があった。最近花火師の夫、大次郎がおかしな絵を見て、性格が変わってしまったのではないという。死体が風化していくその絵は、九相詩絵巻に似ていた。絵を描いたのは、夫の父親善次郎だという。善次郎は殺人を犯し、最期は自殺をしてしまったそうだが──。
Q.E.D.証明終了(28) (講談社コミックス月刊マガジン)
—以下ネタバレ感想—
犯人、トリックについても言及しています。
ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。
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ファラオの首飾り
負け犬はあんただ!! 志と誠意を金で売ったのはアンタの方だろ!!
黒幕は、トマスとサラ(ついでにニックも)。
トマスは自分が発見した墓が、王墓ではないことに気づいていた。しかし話題作りのために、王の墓でないことを確定させたくなかった。
そこで専門外の燈馬に調査を依頼。少しでも長い間、墓の話題が長引くように仕向けていた。
話題が長引けば、その分雑誌も売れる。雑誌編集者のサラ(と生きていたニック)も、この件に一枚かんでいたのだ。
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エジプトのお墓をめぐるあれやこれやのお話でした。
真実がわかっているのにも関わらずそれを伏せ、雑誌を売るために調査員をケガさせ追い返していたトマスとサラ(とニック)。
雑誌を売ったり売名したりするために、本当のことをあえて言わないというのは、普通に日本社会にもあふれているんでしょうなぁ。
”ツタンカーメンの呪い”も、同じだったらしいですね。
世界的な話題になり、それを報じる新聞は売れに売れた。
実際は、ツタンカーメンの墓の発掘に直接携わった者で1年以内に亡くなったのはカーナヴォン卿だけ。
雑誌を長く売りたいから。
そんな理由で前任者は大ケガをさせられ、燈馬も危うく命を落とすところでした。
ひどすぎる……。
なめた態度だったサラに水原が一喝。なかなか格好いいじゃないですか。
心情的には一撃くらわせてほしいところですが、相手が相手なだけにのちのち問題になりかねないですね。水原のナイス判断といったところでしょうか。
首飾りはトマスが置いたものではなかった。
燈馬の仮説によると、あれは盗難品で、巡り巡ってミイラ(になった人)の元にたどり着いたものではないかということだった。
なかなかロマンチックな話ですね。
そういえば燈馬のいとこ、榊森羅も登場しましたね。
3人の賢者の元で育てられた森羅も、燈馬と同じで頭脳明晰。とくに考古学や動植物の知識に長けています。
ただし日常生活における常識は、かなり欠落しています(缶の開け方を知らなかったり)。
この後も何度かQ.E.D.の方にも顔出ししますので、お楽しみにと言ったところでしょうか。
森羅の出る『C.M.B.森羅博物館の事件目録』も面白いですよ。
燈馬が大岩から逃れられたのは、ミイラのお礼だったのでしょうかね。なんともミステリアスなラストでございました。
人間花火
闇を封じて地獄に落とすおまじないか……。高柳教授の言った通りですね。
闇を殺すには名前を与えてやればいい。そうすれば闇は闇でなくなる。
犯人は、大次郎。
燈馬たちが見た九相詩絵巻のような絵を描いたのは、善次郎ではなく大次郎だった。
屋外にうち捨てられた死体が朽ちていく経過を九段階にわけて描いた仏教絵画。
高柳を殺害した理由は、父親と同じ道を1つずつたどるため。
大次郎も善次郎と同じように、作品に行きづまっていた。そこで父親がやったように人間花火を用いたのだ。その犠牲になったのが、高柳。
最期は善次郎と同じように自爆しようとして、失敗した。
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設定が夏だからか、少しホラーな話でした。
……いや、少しじゃないか。
闇の話から始まり、不気味な九相詩絵巻、人格が変わったような言動、インパクトのある人間花火、それを話す安西元医師。
いつもとは違った雰囲気のQ.E.D.でしたね。
ホラーはちょっと苦手……。
題名にもなっている人間花火のシーンは、じゃっかんのトラウマものでしょうよ。
それを語る安西の顔もまた、コナンの犯人みたいな真っ黒です。私がその場にいたら、生唾飲み込んでますよ。
そこらへんの衝撃が凄すぎて、絵を描いた人物が違うとか死体の正体とか、あんま印象に残らないというのが正直な感想でしょうか。
珍しく水原が、講義中に寝ていない(笑)。
難しい数学の話ではなく、妖怪という比較的入りやす題材だったからかもしれない。
最後の犯人に説教する安西、かっこいいですな。
ただ登場人物が彼を、安西先生、と呼ぶとスラムダンクのあのカーネル・サンダースの方が思い起こされてしまうのですがね。
以上、Q.E.D.証明終了。
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