【魔女の手の中に】セーラムの魔女裁判!? 燈馬に強い影響を与えた5年前の事件とは?
タイトル | Q.E.D.証明終了(10) |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 2001年7月17日 |
あらすじ
魔女の手の中に
5年前の事件
場所はセーラムの海辺の岬。その先端にある邸宅で、大富豪マーカスが殺された。逮捕されたのは妻セアラ。彼女は怪しい団体に1年前から所属し、多額の寄付もしていた。殺されたマーカスは貿易商だが、裏では武器の密輸などを行っていた。つまりセアラでも、武器の入手は簡単。この事件の担当検事は、新米女性検事アニー・クレイナー。最初彼女は、裁判を優位に進めていたが──。
Q.E.D.証明終了(10) (講談社コミックス月刊マガジン)
—以下ネタバレ感想—
犯人、トリックについても言及しています。
ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。
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魔女の手の中に
真相を闇に葬ることこそ死者への冒涜よ!!
あなた達2人は言ったわ!! 真実を見極め正義を行いたいと! あれはその場限りの理屈ですか!?
私はあなた達の言った同じ目的の為にこれを要求しているんです!!
私の全てをかけたお願いです!! 私はどんな手を使ってでも許可をもらう覚悟です!!
クレイナー家の名にかけて!!
犯人は、妻セアラ。
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1巻まるまる1つの事件です。
今までは1巻に2つの話が入っていましたが、今回は前後編に分かれており、1つの事件だけで1巻使う長編となっています(より正確にいうと、この話の続編ものちに語られます)。
燈馬に強い影響を与えた、大きな事件といえるでしょう。
300年ほど前、アメリカのセーラムで実際に魔女裁判がありました。
燈馬の妹である優が、それに関係がある絵ハガキを持ち込むところから物語は始まります。
水原と優は、あまりでてきません。
これは燈馬の昔話、そしてアニーという1人の検事のお話でした。
終始落ち着いているセアラには、うすら寒いものを感じますね。殺害シーンですら無表情。最後にアニーに呟いた「意外とバカじゃなかったのね」という一言が不気味です。
本編とはあんまり関係ないけど、無能にみせかけて実はそこそこできる相手弁護士も結構好き。キャラ立ってていいですよね。
1年前、密輸の密告をしたのはセアラであり、理由は警官の拳銃の弾を入手するためでした。密輸していた人たちと警官は、激しく発砲し合ったため、弾の採取は容易だった。
乱戦になっている状態で、警察の弾を集めるのは結構大変じゃないかな。いやまぁ、弾道から考えれば発見は容易かもしれないけれども。
警察官に容疑をかけるため、ライフリングマークが警官のものの弾が必要だったのだ。
ドラマとかではときどき出てきますね。線条痕(せんじょうこん)というやつです。
セアラはそれを、火縄銃のようなものにつめて発砲。夫であるマーカスを殺害。
火縄銃のようなもの、それはマーカスの杖でした。
仕込み刀の亜種か何かですかねぇ。
被害者であるマーカスは、手すりの下、杖とともに倒れていた。しかしよくよく考えると、杖を使う人間がわざわざ部屋の隅にある手すりの近くにいるのは不自然。
たしかに。
杖は犯人が、わざわざ死体の近くに置いたのだ。杖ついているなら、部屋の中央を突っ切るなり、最短コースを通るからね。
証拠である杖は、マーカスの死体とともに埋められていた。アニーは自身の検事生命をかけ、掘り起こさせたのだ。
なかなか勇ましい女性ですな。
これによりセアラは自供。1年かけた綿密な殺人計画は、これで解決した。アニーの裁判勝利が確定したのだ。
しかしここから、悲劇が起きてしまったんですよね。
勝利を確信しいよいよ法廷へ、というところでセアラがハマっていた団体により、アニーが撃たれてしまいました。
アニーはそのまま命を落とし、事件は苦い記憶を残して幕を閉じてしまいました。
そんなぁ……。
アニーの言動は、人間関係に悩んでいた10歳の燈馬にすさまじい影響を与えました。
「君はとても大きな力を持っている。だからこそ人の本当の言葉を……本当の姿を見つめなきゃいけない!! それはあなたにとって……とても大切なこと……」
「君はもっと見つめなきゃダメ……。人の本当の姿を……。君にはそれができるのよ。自分の力に誇りを持ちなさい」
アニーのその言葉を胸に、燈馬はMITでの道を歩いていくんですね。
実はこの話には後日談があります。
12巻に収録されているそれは、後日談、というのはあまりにも衝撃的な内容でした。
それは12巻での紹介で書きたいと思います。
以上、Q.E.D.証明終了。
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