【アリアドネの糸】ミノタウロスの木像が動く謎。 & 【魚釣り】違法取引の証拠はどこに? & 【スタン】盗難被害にあったカンボジアの女神像。 & 【キルト】女性が残した秘密のメッセージとは。
タイトル | C.M.B.森羅博物館の事件目録(15) |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 2010年10月15日 |
C.M.B.森羅博物館の事件目録(15) https://t.co/JTuDTgTR0T
— ウエスト記伝 (@west_kiden) January 26, 2019
あらすじ
アリアドネの糸
太陽とは
博物館に届けられたミノタウロスの木像。なんとそれは、像を調べる者を襲うのだという。調査をする森羅だったが、護衛についていた警官が像に襲われケガをする事件が発生し──。
魚釣り
麻薬取引の証拠
貨物船を横目に、魚釣りに勤しむ森羅たち。視線の先には、一隻の小型ボートが海上で停まっていた。ボートの持ち主が怪しい動きを見せたとき、潜んでいた警察官が一斉に出てきて──。
スタン
消えた女神像
輸送中に消えた、カンボジアの女神像。裏ルートで日本人に買われたらしい。森羅は、養父の1人であるスタンとともに、買い手の元へ。スタンも例にもれず、とんでもない変人であり──。
キルト
仲たがいした2人
大英博物館理事、メアリー。老衰でもう長くない彼女の願いで、森羅はキルトに隠された秘密を解くことに。メアリーには親友の女性がいたのだが、彼女を裏切ってしまった過去があり──。
—以下ネタバレ感想—
犯人、トリックについても言及しています。
ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。
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アリアドネの糸
御伽噺や都市伝説……物語は形を持たないけど、時を超えるとエネルギーを持ち始める。
それは人の心に”恐怖”を与える力を持つ。
像が動く秘密は、キノコ。
毒キノコの菌糸が、幻覚を見せていたのだ。
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違法薬物を作っていた、とんでもないミノタウロスの木像でした。1ページ目の「なめるように研究~」というセリフも、ある意味伏線だったのかもしれない。
”マジックマッシュルーム”を楽しむ風習が、昔の欧米ではあったらしい。
死亡例はあまりないらしいが、幻覚作用が強力で、今は厳重に禁じられているそうな。
森羅の身の安全を1番に考える七瀬。もう母ちゃんそのものですね。
「今は厳重に禁じられていることだけれど~」のセリフは、誰が喋ってるんだろう? 吹き出しがおかしいように見えるけど。
ところで森羅は、こんな危ない像を手元に置いておくのかな。菌糸というのは、掃除すると取れるものなのだろうか。
魚釣り
まァある意味穴場じゃない?
面白いモノで帰れるし。
麻薬は、あった。
船内に流し込んだのだった。
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いくら近くに隠し場所があるとはいえ、別の場所で麻薬取引をした方が安全なのではなかろうか。真昼間から、森羅たちの目の前でやらんでも……。
私はじっとしていることはあまり得意ではないので、釣りは向かないだろうなぁ。ああでも、本を読んでていいなら釣りもできなくもないか。まぁ元々が出不精なんで、滅多なことがなきゃ行かないと思うけど。
子供会で釣り堀に行った時が、最初で最後の釣り体験だったのではなかろうか。
なんで森羅の友人たちは、そろいもそろって釣り道具を持ってるんだ(笑)。そこまでメジャーな趣味だっただろうか。
犯人たちが使ったのは、バラスト水。
転覆防止用の水だそうな。船ってのは、いろいろ考えられて設計されているのね。
wikiによると、年間120億トンのバラスト水が世界中を駆け巡っているそうな。
環境に配慮して、バラスト水は途中で交換しないといけないらしい。日本からやって来たキヒトデやワカメが、外国の海の生態系を壊してしまったこともあるそうですよ。
バラスト水の取水口の水の勢いは、どうなっているのだろう。人間が吸い込まれたりしないのかな。
指揮官の刑事さんは、ちょっと怪しすぎるのではなかろうか。高校生に見つかっているようじゃ、捜査もうまくいかないだろうに。
スタン
なんていうか……。
あのスタン博士が、アッサリあきらめたなと思って……。
窃盗犯は、箱の中に入っていた。
像を手に取り、箱から出てきたのだった。
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森羅の養父の1人、スタン登場回。レイがあんなんだったため、七瀬は警戒しまくりです。
レイが探求心の塊ならば、スタンは胆力の塊でしょうか。法律にアグレッシブな方々相手でも、1歩も譲りません。森羅の頑固なところは、スタンの教えのたまものでしょうか。
犯人は、箱の中にいた。
そんなエスパー伊藤じゃないんだから……。というか、自力で箱から出るのも結構大変じゃね? 目撃者もいそうだし、ちゃんと聞き込みしたらトリックはすぐバレそう。
下手したら窒息しそう……。
スタンのしつこさのおかげで、干竹のアリバイは証明された。スタンの粘り強さの勝利でしょうかね。
キルト
「私の親友メアリー」……そう書いてある。
なんとも物悲しいお話。
犯人を追いつめるために森羅が騙すことはあっても、こういうウソをつく機会はあまりなかったと思う。
メアリーがロッテの恋人を奪ったのが悲劇の始まりだったとはいえ、幼いころから一緒に友情を深めていた2人が、このような結末で終わってしまうのは悲しすぎる。
キルトは、昔は暗号にも使われていたらしい。
キルトには、いろんな種類があるみたいですね。
はたして森羅は最後、どうするのが正解だったのか。
今わの際にいる老婆に悲痛な思いをさせて逝かせるのが正しい答えだとは、さすがに思えないなぁ。
とはいえそれはメアリー目線だからそう言えるだけで、恋人を奪われた側のロッテ視点だとまた、別の感想になるかもしれないけど。
時間がなく、結論を先送りにできない極限の状況下で、森羅は本当のことを伝えなかった。彼の涙が心中の葛藤をにょじつに表しているのでしょう。
一説によると人の本性は、追いつめられて理性が働かないときに出るものらしい。あの状況で森羅が出した答えがあれだったのは、彼の本質である優しさの結果なのかもしれないですね。
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