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タクティカル・ジャッジメント

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今はなき富士見ミステリー文庫が生んだ怪作。

この弁護士は、正義か悪か。


タイトル タクティカル・ジャッジメント
筆者 師走トオル
イラストレーター 緋呂河とも
レーベル 富士見ミステリー文庫 (現在)富士見ファンタジア文庫
初版発行 2003年1月25日
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富士見ミステリー文庫とは

2000年~2009年まで存在していた、富士見書房が発刊していたライトノベルレーベルの一つです。

有名な作品では、直木賞作家である桜庭一樹(さくらばかずき)さんが執筆した「GOSICK-ゴシック-」や「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」があります。

とんでもトリックとして一部界隈で有名な、深見真(ふかみまこと)さんの「ブロークン・フィスト 戦う少女と残酷な少年」もここから刊行されました。

 

サナ
サナ

アレには度肝を抜かれたな。

 

富士見ファンタジア文庫の派生として生まれたレーベルでしたが、時代の波に飲まれ消滅。いくつかの作品を他のレーベルに引継ぎ、時代の流れに消えていきました。

どんな物語

タクティカル・ジャッジメントは一言でいうと、「闇落ちした逆転裁判」といった感じです。

裁判に勝つためならときには犯罪ラインぎりぎりの行為を──というか犯罪行為そのものすらやってのける悪徳弁護士山鹿善行(やましかぜんこう)が主役。

裁判中、机をなんども叩き、最後には破壊してしまうことから机壊し(デスクブレイカー)の異名がついています。

脅迫、偽証教唆、証拠のねつ造などなど数々の犯罪行為を平気でやってのけながら、詭弁とこじつけでのりきる胆力と舌を持っています。

アメリカの裁判員制度を指針とした陪審制を取り入れた日本が舞台となっており、いままでただただ長かった裁判の早期解決がはかられた世界観となっています。

 

サナ
サナ

裁判は時間がかかるからな。

 

この本の発刊当時の日本は、まだ裁判員裁判が施行されていなかったため、ある意味、時代の先駆けをいく作品でした(厳密にいうと、陪審制と日本の裁判員裁判は違うものですが……)。

癖のありすぎるキャラクター

主人公の悪友にして社会不適応者呼ばわりされる私立探偵、共産主義に目覚めた女子中学生、家事全般が得意だけど怒るとちょっと怖いヒロインなどなど、主人公の周辺にはヘンテコな人材がそろっています。

そしてなにより、主人公を追いつめつつも、最後にはけちょんけちょんにやられる検察官たち。特に堀内検事は、主人公との舌戦に負かされまいど放心状態にさせられます。読んでいてとても面白──もとい、かわいそうにすらなってきます。

堅苦しい法廷ミステリーは読みたくない人向け

裁判所を舞台にしたミステリーに興味があるけど、あまり小難しいのは読みたくないなぁ、という方。ぜひこのタクティカル・ジャッジメントをオススメします。

ライトノベルのノリを失わず、しかしちゃんと裁判ものとして機能している本作は、手に取りやすいのではないでしょうか。

刑事が事件を解決したシーンから始まったり、裁判が終わったとみせかけて即関連性のある事件が起こったり、小ネタの短編集があったりと、毎回展開が一辺倒ではないため飽きさせません

ぜひ1度読んでみて、主人公の悪行に仰天してみてはいかがでしょうか。

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