「ひとひら」のスピンオフ作品。恋愛要素ましましの、淡い年の差ラブコメです。
タイトル | 榊美麗のためなら僕は…ッ!! |
著者 | 桐原いづみ |
レーベル | Action Comics COMIC HIGH’S BRAND |
初版発行 | 2011年2月12日 |
ひとひらのスピンオフ……というか続編
主人公は榊美麗(さかきみれい)です。
彼女は本編「ひとひら」において、演劇部の部長として登場しました。本編主役の麻井麦(あさいむぎ)が所属していた演劇研究会とは、対立する立場にありました。
また演劇研究会の代表である一ノ瀬野乃(いちのせのの)とは、親友であり、かつ、互いの部の存続をかけて争ったなかでもあります(その後、無事に和解しています)。
今作では大学2年生になった美麗、そして同じ大学に進んだ野乃たちが、自分たちで立ち上げた劇団「ならずもの」を盛り上げる様子、そして、そこで繰り広げられる甘酸っぱい恋愛模様が描かれています。
また、「ひとひら」の主要登場人物たちも、ちょこちょこ出演します。
大学生と中学生の、年の差カップル?
主役は大学2年生の美麗、そしてその相手となるのが、中学3年生の立花祐(たちばなゆう)です。5歳差です。
祐は、細身の男子ですが、思いやりがあり、ここぞというところでちゃんと言える男の子です。第1巻1話のラスト、祐が美麗に告白するシーンから物語が動き出します。
2人とも恋愛事情にはまだうとく、さらに年の差もあって、互いの距離感がよくつかめません。そんな2人が、どのような過程を経て、距離をつめていくことになるのか。
ストーリーはこの2人の恋愛事情を主軸に、公演に向けて仲間たちと歩む様子、また、なぜか劇団を手伝ってくれる人物、上原の秘密に迫っていきます。
どろどろの恋愛事情とかはなし
恋愛マンガ、というとどうしても「三角関係」、「嫉妬」などというネガティブ要素が入ってきがちです。
しかし、このマンガにはそのようなまどろっこしい展開はありません。せいぜい祐を気にする女の子が、ちょこっとだけ顔を見せるくらいです。
ハリはドロドロ展開も好きだけど……。
作中、主人公組ふくめ、何組かのカップルが登場します。それぞれがいちゃついてくれますが、それらを阻害するお邪魔虫はでてきません。
比較的安心して、恋愛模様を読むことができます。
前作のキャラ含め、多数の登場人物が出てくる。
劇団「スターキッズ」の代表上原、休止状態の「スターキッズ」になんとしても上原を引き戻したい三島を始め、多くのキャラクターが物語を動かします。
また、前作「ひとひら」を読んだ人は、結局あのカップルはどうなったんや、と思っていた読者も多いと思います(野乃とかミケとか)。
そこらへんは、今作で少しですが描かれていますよ。5巻ラストシーンは必見かもしれません。
そしてなにより松本さん。23歳、OL。
暗い性格で友達がおらず、ごはんも1人で食べるようなぼっちの松本さんですが、美麗から恋愛相談を受け、環境が一変。デートがうまくいかずに悩んでいた美麗の背中をおし、応援する立場に回ります。
初めて美麗を自宅に招いたとき、「やっと来客用のコップを使う時が来た!」と、ドキドキしたりします。いいキャラしてます。
また三島との、大人の友情展開もあります。
全編とおして
全体的に明るいストーリー展開です。
また、少しづつ前に進んでいく美麗と祐の恋愛模様は見ていてこそばゆいですが、ほほえましくもあります。
ぜひ1度手に取って、初々しい2人のラブコメを堪能してみてはいかがでしょうか。
榊美麗のためなら僕は…ッ!!(1) (アクションコミックス)
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