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Q.E.D.証明終了(24)

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【クリスマスイブイブ】あるカラオケ店で起きた不可解な出来事の数々。 & 【罪と罰】金のない大学院生が行った犯罪。連続窃盗犯を模倣した彼は、侵入先の家で死体を発見?


タイトル Q.E.D.証明終了(24)
著者 加藤元浩
レーベル 講談社コミックス
初版発行 2006年5月17日
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あらすじ

クリスマスイブイブ

浮気をしたのか?

燈馬と水原は、その栗ヨーカンパーティで行われるプレゼント交換のためのお金が必要になった。知り合いのカラオケ店でアルバイトをすることに。カラオケ店の店長の萩尾とチーフの徳永は恋人同士。しかし最近、ギスギスしていた。理由は徳永が、他の女とデートしていたかららしい。徳永自身には、そんな記憶はまったくなかった。そんな折、とある事件が起こって──。


罪と罰

連続窃盗犯の模倣

お金に困っていた大学院生、千田川は、ある策を講じる。最近、ここら一帯では空き巣が多発していた。「オレが空き巣をしても、そいつの犯行だと思わせられるのでは?」ネットで空き巣の情報を調べ、履いているスニーカーの情報や手口を研究。千田川は犯行を開始。「オレの計画は完璧だ」千田川は、大地主の家に盗みに入る。しかしそこで思わぬ展開を迎え──。


—以下ネタバレ感想—

犯人、トリックについても言及しています。

ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。

クリスマスイブイブ

でも外にいて不思議な感じがしました。ただ年が暮れていくだけなのに。

急いでいる人やハシャいでる人が、たくさんいてすれ違って……。

この1年間を頑張ってきた人達が、年の瀬になにか不思議で楽しい時間を過ごしているような……。

 

徳永は、浮気をしていない。

すべては女友達の勘違いだった。

とてもQ.E.D.らしいお話でした。人が死ななくてもちゃんとミステリーしています。

お客さんの中に、『汐杉』さんと『シタホシ』さんがいた。店長は汐杉さんを、店員がシタホシさんをそれぞれ記入。

よく似たその名前を店長は、店員がダブって記入したと勘違いし、1つの名前を消してしまったのだ。ちゃんと最初から9組、お客さんがいたのである。

シタホシ、の名前をさりげなく出すのがうまい。あんなの誰も気付かないって。

徳永はバスケットをやっていて、背がとても高いのが特徴。

背が高いのが私の彼氏、と女友達に紹介したのが店長の失敗でしたね。

徳永はバスケ仲間と一緒に歩いており、高身長の彼よりさらに背の高い男性が隣を歩いていたのだ。

女友達は徳永本人ではなく、その背の高い方の男性が徳永だと勘違いしてしまっていたのだ。

 

ハリ
ハリ

バスケットやってる人って、背が高い人多いもんね!

 

背の高い男性が萩尾じゃない女性と街中で歩いていても、それは当然、浮気にならないのである。

生きていた栗ヨーカンパーティの設定。さびしい人たちを集めた傷のなめ合い集会ですが、燈馬と水原、君たちは参加する意義があるんですかねぇ。

また水原は幹事をやらされたのかな。水原は怖いので──じゃなくて人望があるので、ちゃんとみんな協力してくれるんですよねぇ。

最初に徳永が伸びて頭をぶつけるシーンも、彼が高身長であることを提示しているんですよね。いたるところに伏線が仕込まれています。

ほぼわき役でしたが、カラオケ店従業員の3人の話もきれいに収まっていい感じです。いっけんチャラそうな藤村が、ゲームの引換券を井口に渡すところがいいね。

店長は騒動の原因が自分だとわかって、だいぶ落ち込んでいますが、徳永がいるから大丈夫でしょう。末永く爆発してください。


罪と罰

くそっ!! なんでこんなことに!! オ……オレじゃない!!

れ……連続窃盗犯がやったことなんだ!! で……でもこのままじゃオレが犯人にされる!!

奴が殺したことにしないと!! オレじゃない!! オレは被害者なんだ!!

 

殺人犯は、千田川。

彼が大地主の家に侵入した後、大地主が家に帰ってきてしまった。

やむなく千田川は、彼を殺害してしまったのであった。

いやぁ、叙述トリックが非常によくできている話でした。

水原警部が主役といっても過言ではないほど、よく出てきましたね。

なにかやったんですか、と訊いてきた千田川があやしい、と水原警部は即座に気が付きました。

そりゃあんた空き巣が入ったのであれば、盗みが行われていることがほぼ確定している状態で、わざわざそんなこと訊く奴は普通はいないですよね。

何かあったのを知っているからこそ、そんな質問をしてしまった千田川。水原警部はそれを見逃しませんでした。

 

ハリ
ハリ

水原警部、優秀だね!

 

「水原警部は理由もなく人を疑ったりしない」

燈馬がそう言っていたことを聞いてうれしがる水原警部。燈馬と水原警部のコンビもいいですよね。

まぁそれはともかく叙述ですよ、叙述。

普通にみれば、

  • 千田川が大地主宅に侵入→目の前に死体が(ここから描写)→盗んで逃走。

に見えますが、実は、

  • 千田川が大地主宅に侵入→大地主が帰宅→大地主を千田川が殺害→目の前に死体が(ここから描写)→盗んで逃走。

だったんですよね。

ズルいとは言いませんが、あの千田川の立ち位置、今入ってきた瞬間に見えるじゃないですか(笑)。いやまぁ、わざとそう描写してるんでしょうけども。

水原警部に追いつめられた千田川は、

「このままじゃ殺人犯にされる」

と言いますが、これもウソは言ってませんもんね。

叙述に騙されている読者は、殺人の冤罪を着せられる、と捉えますが千田川本人からしたら、読んで字のごとくそのままですもの。

正直私は初見時、見事に騙されました。

以上、Q.E.D.証明終了。

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