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Q.E.D.証明終了(22)

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【春の小川】記憶喪失になった日本画家。”大切な場所”の秘密とは? & 【ベネチアン迷宮】誘拐されたアラン。無事に結婚指輪をエリーに渡せるのか。


タイトル Q.E.D.証明終了(22)
著者 加藤元浩
レーベル 講談社コミックス
初版発行 2005年10月17日
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あらすじ

春の小川

交通事故で記憶が消えた男

燈馬と水原は、ある男性と出会う。彼の名前は赤羽。日本画家だが、最近絵が描けなくなってしまったらしい。少し前、交通事故にあい記憶がなくなってしまったから、だそうだ。彼の奥さんによると、”大切な場所”を思い出して絵を描けば前の生活に戻れるとか。赤羽のうっすらとした記憶によると、昔はお金持ちだったらしい。しかし最近、なぜかお金が心もとなくなってきて──。


ベネチアン迷宮

迷惑男アラン、誘拐される

指輪を買うのを手伝って、というアランの要請を受け燈馬と水原はイタリアへ。どうやら秘書のエリーに渡すらしい。しかしアランが、なんと銀行強盗と遭遇。強盗たちに連れ去られてしまう。なにかと間抜けな3人の強盗に対して思わずアランは、「オレを人質にして身代金を要求すれば?」と提案してしまう。強盗犯たちは、燈馬に連絡を取りお金を要求し──。


—以下ネタバレ感想—

犯人、トリックについても言及しています。

ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。

春の小川

あなたが隠したんです。あなたが聡美さんを殺しここに隠した。

彼女を殺したことは忘れたかった現実。その罪の意識から彼女が生きているという幻影を見続けた。

 

赤羽の正体は、結婚詐欺師。

赤羽は記憶喪失になる前は、女性を騙して金品を奪う詐欺師をしていた。

『パイロットの潮崎』も『医者』も、赤羽が実際に名乗っていたものだった。

 

ハリ
ハリ

全部本当だったんだね。

 

日本画家というのも偽称。本当は絵なんて描けない。事故にあう直前に日本画家と称して活動していたので、自分は画家だと勘違いしたのだった。

赤羽に奥さんはいない。赤羽が奥さんだと思い込んでいた女性は、彼が殺してしまった人だった。

罪の意識から赤羽は、女性の幻影を見ていただけ。”大切な場所”とは、赤羽が女性の死体を隠した場所のことだったのだ。

この叙述トリックを見破るのは、けっこう難しいかもしれない。

奥さんが登場したときに、名前とかの紹介欄が出ないのが最大のヒントか。

主要人物にはだいたい出る紹介欄ですが、女性が奥さんではないこと、もう死んでいることを紹介しないことによって暗示しているのかもしれませんね。

いや、女性絶対怪しいやん(笑)。

銀行の暗証番号がわからなかったり、”大切な場所”に固執したり。

赤羽を騙して、お金を奪おうとする悪女にしかみえない。

読み返すと確かに、水原と女性が話しているシーンは1度たりともありませんね。よくできています。

画商の黒島、洞窟内の彼はなんであんな悪人の顔をしているんだ。何人も人を殺ったことのありそうな面構えをしています。

黒島もかわいそうな人です。赤羽の殺した女性=黒島のお姉さんだったわけですが、水に沈められていたうえあんなにも白骨化した死体を見せつけられたわけですからね。

あきらかに画面に写ってはいるけど、実はそこには誰もいない。こういう手法は、ドラマとかでもありますよね。ぱっと思い浮かぶのはドラマ『相棒』の子供、ドラマ『BOSS』の兄弟とかですかね。

最期は女性の幻影に導かれて絶命する赤羽ですが、自業自得としかいいようがありませんなぁ。


ベネチアン迷宮

……結婚してくれ。

 

犯人は、3人組ではなく4人組。

トリオソナタとは、強盗犯が3人ではなく4人いることを伝えたメッセージだった。

トリオソナタ
バロック時代に始まった、室内楽の一形式。トリオという言葉が入っているが、4人で演奏する。

お騒がせ男アラン、3回目の登場。

舞台はベネチアでした。

ベネチア
イタリア共和国北東部に位置する都市。水の都として有名。

犯人のゴンドラが消えたのは、家の中に逃げたから。

近年の地球温暖化のせいで、水位が上昇。ベネチアでは1階部分が浸水し人が住めない場所があるのだ。犯人たちはそこに逃げ、ゴンドラから小型舟に乗り換え、別の扉から外に出たのだった。

これってドアは開くのかね? 水圧が凄すぎて開けられないのではなかろうか。最初から半開きなら問題ないのかもしれないけれど。

4人目の犯人は警察内部におり、警察側の情報は筒抜けだった。どこの国の警察にも、犯人の一味は紛れ込んでいるのね。

最後はアランがお金を貸すというていで兄弟にお金を進呈。

アランの結婚の申し出にエリーが答え、円満に事件が解決しましたとさ。

アランは想い人であるエリーに指輪を渡したいから選んでくれ、というかわいい理由で燈馬たちをイタリアに呼びつけました。

まぁグランドキャニオンで食事会を開くようなセンスのアランに、指輪は選ばせないほうがいいかもしれない。

なかなか憎めない3人組でしたが、彼らのママがまた印象に残る人でした。

指輪をもらっちゃおうかな、とアランを試すママは悪人面そのもの。まぁ本当に盗む気はなくアランにちゃんと返却しますがね。なんとも茶目っ気のある人でした。

アランが指輪を渡すとき、息子に音楽を鳴らすように指示するママ。気が利きます。

大企業のトップのアランに対して、彼に謝ってください、と言えるその豪胆さ。自分勝手なアランには、エリーはちょうどいいのかもしれません。

以上、Q.E.D.証明終了。

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