【接がれた紐】雪の山荘での連続殺人。犯人の意外な正体とは。 & 【狙われた美人女優、ストーカーの恐怖 絶壁の断崖にこだまする銃声 燈馬と可奈はずっと見ていた】火サスにあこがれる刑事。ストーカー偽装がとんでもないことに。
タイトル | Q.E.D.証明終了(21) |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 2005年6月17日 |
あらすじ
接がれた紐
連れ子問題で荒れる一族
燈馬と水原は雪山で遭難しかける。偶然、大きな屋敷を見つけやっかいになることに。そこは大企業、東泉グループの所有する屋敷。東泉家は今、結婚問題で揺れていた。5代目の社長である昭信の長男、光司は鹿島という女性との結婚を望んでいるのだが、彼女は1度結婚しており子供もいた。もし光司になにかあったら、その連れ子に会社を乗っ取られる、と社長は危惧していて──。
狙われた美人女優、ストーカーの恐怖 絶壁の断崖にこだまする銃声 燈馬と可奈はずっと見ていた
ストーカー偽装?
女優、渚はホテルがスイートじゃないことに立腹していた。マネージャー、緒方は、最近収入が減ってきて、と言い訳。「何か話題作りをして」と緒方は渚にお願いをする。「じゃあ私がストーカーに命を狙われているってのはどう?」と渚は提案。渚の身には次々と不幸な出来事が起こる。火サスが大好きな笠山は、記者会見を開きどんどん事件を大きくしていって──。
Q.E.D.証明終了(21) (講談社コミックス月刊マガジン)
—以下ネタバレ感想—
犯人、トリックについても言及しています。
ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。
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接がれた紐
奴を殺して母さんの墓参りをしたよ……。母さんはなんて答えるか……。
でもなにも答えてくれない……。当たり前だ……。だがオレは確信してる。
オレの母さんを笑う奴に……、生きる価値なんかないってことを……。
犯人は、宮部。
存在を抹消された4代目当主であり、強引に家督を奪った5代目昭信を恨んでいた。
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大企業の跡取り問題を扱った事件でした。
燈馬と水原が遭難しかけるのは、もはや風物詩ですな。3巻の褪せた星図でも、水原の無茶で遭難しかけていました。
足跡をたどって後をつけていたのに、水原の暴挙によってそれらが消滅。そのときの燈馬と水原の表情がいいですな。
ドアを開けたトリックは、錯覚。
手前にある自分の部屋のドアを開け、社長のいた部屋のドアがまるで開閉可能かのように偽装したのだった。社長の姿を見たと言ったのは宮部であり、偽証は容易。
ドアのトリックはどうなんだろう。発想としては面白いし作画ではたしかにだまされるけど、実際目の前でやられたら一発でバレかねないのではなかろうか。
開けるときはまだいいかもしれないけど、閉める動作には違和感すごそう。
沢口殺害のトリックは、雪。
雪を背にして滑ることにより、目立つ足跡を着けずに移動を可能にしたのだった。
沢口のいる管理人室にたどり着けなくて、雪原の途中で止まるシーン想像したら何か笑える。
狙われた美人女優、ストーカーの恐怖 絶壁の断崖にこだまする銃声 燈馬と可奈はずっと見ていた
エンディングパーンチ!!
黒幕は、マネージャーの緒方。
緒方は渚のお金を横領していた。渚のホテルの格が落ちているのも、そのため。
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インパクトのある題名、そして意外性のあるオチのあるお話でした。
1話目のまじめな感じとは真逆の、コメディタッチの物語でしたね。
まず題名、長すぎ(笑)。
最近はやりの長ったらしいラノベタイトルのはしり──では当然なく、火曜サスペンスのオマージュですね。
笠山のモデルはあきらかに船越なにがしさんです。
作中ではぱっとしないうえに、紹介文に独身とまで書かれる始末。しかし最後にまさかの渚と結婚エンド。いっきに人生の勝ち組へ。
女優渚は美人だけど、怒ると怖いです。水原に一面の写真を奪われて新聞を破り捨てるシーンは、プロレスラーのよう。
今回の事件を実際にドラマ化するその豪胆さ、見習いたいものです。
しかしマネージャーは、なかなかだいたんな策を考えるものですね。
渚に実際にストーカー行為を行い、彼女にその存在を認識させる。そして緒方が渚に、話題作りをしてほしいと依頼。彼女の方から、ストーカーにあっているふりをする、という提案をさせる。
電車や植木鉢で死んでも、それは謎のストーカーのせいにできる。
マネージャーさん、悪い人……。
だが渚は死ななかった。
緒方は次の作戦を実行。自分が狙われたかのように偽装。病院内でのアリバイを確保。入院しているはずの間に、渚を自殺にみせかけて殺そうとした。しかし笠山の活躍? により、緒方は逮捕されたのだった。
そんなあくどいことするくらいなら、素直に横領を認めたほうが楽だったのではなかろうか。
以上、Q.E.D.証明終了。
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