【マクベスの亡霊】倒叙式ミステリー。大根役者の犯した罪。 & 【賢者の遺産】水原がタイムスリップ!? 消えた肖像画の秘密。
タイトル | Q.E.D.証明終了(19) |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 2004年10月15日 |
あらすじ
マクベスの亡霊
さえない役者の殺人
劇団の稽古を見に来た燈馬と水原。演目は『マクベス』。マクベスの役は本来、河岡がやるはずだった。しかしベテランの山崎が出演可能になったため、山崎がマクベス役、河岡がマクダフ役をやることに。河岡の下手くそな演技に山崎は激怒。「大根役者が!」とこき下ろす。山崎は「河岡を下ろせ」と言い出す。追いつめられた河岡は山崎を殺害。ケースに山崎の死体を詰め込み──。
賢者の遺産
まさかの時間遡行
昔、何かの実験で大爆発した大屋敷。その屋敷の調査に訪れた燈馬たち。怪しげな地下を探索していた水原は、作動した謎の機械の光に飲まれてしまう。彼女が目を覚ますと、そこは1972年の日本だった。燈馬によく似た少年、塔場に自分の境遇を話す水原。塔場はある依頼を受けていた。生前お世話になっていた人物、龍門寺虎男の、遺産相続問題を解決してほしいと言われ──。
Q.E.D.証明終了(19) (講談社コミックス月刊マガジン)
—以下ネタバレ感想—
犯人、トリックについても言及しています。
ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。
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マクベスの亡霊
オレとあいつ……片方は地獄行き……。
運命はオレに味方する!! 地獄に落ちるのはあいつだ!!
ケースが軽かったのは、錯覚を利用したから。河岡は、てこの原理を利用したのだ。
山崎の死体を、ケースの片側によせる。死体側を河岡が持つ。こうするとてこの原理が働き、大道具さんの方はほとんど重さを感じない。こうして山崎の死体を、外に運び出したのだ。
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芝居も工作もおそまつな、大根役者の犯罪でした。
山崎の死体が見つかったプールはタオル持ち込み禁止。山崎はそれを知っているはずなのにタオルを持ち込んでいた。また普段ゴーグルを着けているのに、それがどこにもない。
このことから、第3者がいることが露呈。
またアリバイ工作の為に留守番電話に声を残しておいたのだが、それが稚拙すぎた。
山崎に叱責されマスコミに叩かれた河岡の憎悪や嫉妬は理解できなくもないが、実際に手にかけちゃいかんでしょ。
山崎も、煽ってタバコ投げつけて3流役者呼ばわりして態度が良かったわけではありませんが、それは河岡を奮起させるためものだったんですよね。
愛の鞭──といえば聞こえはいいかもしれませんが、第3者の私から見ると、じゃっかんやりすぎ感は否めない。役者でもなんでもない私が言っても、意味も何もないですけどね。
マクベスって、結構有名なのかな。私、あまり知らないんだけど……。
事件とは何の関係もないけど、この作品、水原の水着シーン多いですな(笑)。
賢者の遺産
違うよ、塔場さんがやったのよ……。それとも虎男さんかな?
途中で投げ出さない塔場さんを見たかったんじゃないかな……。だから遺言で、あなたを指名した。
絵を盗んだのは、次男。
使ったのは、幻灯機。
幻灯機のスイッチを入れると、”色が違う”父の肖像画が浮かび上がる。
それは写真のネガに、補色となる色を塗ったもの。
黄色に紫、緑に赤というように合わせると色は必ず茶色になるのだ。
次男はこの幻灯機を使い、本物の肖像画を茶色1色に変化させた。みんなで肖像画を探し回っている最中、どさくさに紛れて盗み出したのだった。
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まさかの時間移動もの。
これは結構思い切ったことをしたなぁ、という印象。推理マンガでやるには、ちょっと博打に近いかもしれない。
とはいえコナンでも、ソードアートオンライン並みのスーパーゲームが登場してるし、別にタイムトラベルしても問題ないかもしれない。
肖像画のあった位置から家の中を見渡すと、『戌』という文字が浮かび上がった。
末っ子には犬を、長男には戌の刻で止まった金時計を、次男には戌の方角にある部屋をそれぞれ相続し解決。
なんともまどろっこしいやり方ですな。
水原にホレて、残ってほしい、と止める塔場。水原にとっての現代で廃屋と化した屋敷を買い取り、もう1度彼女に会いたかったという。
水原の姿を見た塔場は、うれしかったのか、物悲しかったのか、その気持ちが半分ずつくらいあったのか。
どうだったんでしょうねぇ。
以上、Q.E.D.証明終了。
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