【太陽とフォークロア】巨大トンネル網で見つかった死体。黄金卿はあるのか。 & 【メタモルフォーゼ】高価な絵画が図書室から消え去った。 & 【死滅回遊】ダイビング中に亡くなった女性。事故か殺人か。
タイトル | C.M.B.森羅博物館の事件目録(9) |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 2008年10月17日 |
C.M.B.森羅博物館の事件目録(9) https://t.co/Q0Ph5dzFwX
— ウエスト記伝 (@west_kiden) January 20, 2019
あらすじ
太陽とフォークロア
黄金卿を示す手がかり
太陽の神殿。インカの宗教的中心地であり、かつては黄金であふれていたという。長い地下通路の先に、黄金卿があると伝えられていた。その通路で、大学教授の死体が発見され──。
メタモルフォーゼ
消えた絵画
森羅の学校の図書室にあった絵。それは貴重なマリア・シビラ・メーリアンの絵だった。理事長の一存で絵の展示を続行したものの、発覚からわずか4日後、その絵画が盗まれてしまい──。
死滅回遊
事故? 殺人?
スキューバダイビングにやって来た森羅たち。ダイビング会社を経営している鶴岡夫妻は、どうやらケンカ中のようだった。その原因は3年前に亡くなった、前の奥さんに関係していて──。
—以下ネタバレ感想—
犯人、トリックについても言及しています。
ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。
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太陽とフォークロア
アンデスの宝はアンデスの人に返す。
犯人は、フーリオ。
壁画を隠すための犯行だった。
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インカ帝国の首都、クスコを舞台にしたお話でした。
巨大トンネル網は迷路になっており、今回の殺人事件はここで発生しました。
フーリオは涼しい顔をしていますが、所業はだいぶ鬼畜。迷路の奥底で放置するわけですからね。教授の恐怖は相当なものだったでしょう。あやうく森羅たちも殺されるところでした。
最後は何食わぬ顔で飛行機に搭乗しているフーリオ。いくら伝承者としての使命があったとはいえ、人を殺しておいてぬけぬけとしすぎではなかろうか。サイコパス、とまではいわないけど、だいぶ彼怖くね?
黄金卿への手がかりだったケープ。あんな小さいのに自分の命運をかけるのはやだなぁ。現代科学だったら、迷路の中なんてすぐに調べられそうなものだけど……。そう上手くはいかないのかな。
殺人の動機は、壁画の隠蔽。
文字を持たないはずのインカの人々が残した年代記。歴史的大発見ですね。
王に隠れて伝達された、秘密の絵の数々。現代なら別に公表してもいいんじゃないか、と勝手ながら思ってしまうが……。当事者にしかわからない大切なものというものがあるのかもしれない。
この手の『歴史的大発見の壁画』というと、アリソンという作品を思い出すなぁ。あっちは、いがみ合う2つの勢力の仲を改善させるという、すさまじい効力を持っていました。
借りがあるとはいえ、ペルーまで足を運ぶ森羅。お疲れさまでした。
メタモルフォーゼ
1人でやりたいことがある人を邪魔しちゃダメ。
彼女は今、蛹の中でメタモルフォーゼしてるのよ。空を飛ぶ羽をもつために……。
犯人は、志賀。
金に目がくらんでの犯行だった。
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図書室にあった絵画をめぐるお話。
マリア・シビラ・メーリアンという、すごい女性がいたらしい。
魔女裁判で殺されてもおかしくない時代に、昆虫が卵から生まれメタモルフォーゼすることを主張した人だそうで。50歳を超えての大航海。ジャングルの中での植物や昆虫の観察など、なんともパワフルな女性です。
窃盗をした志賀も当然悪いが、高価な絵画を無防備においた理事長もちょっと責任があるのではなかろうか。子供たちに本物を見せるいい機会、という考えもわからなくはないが。
トリックは、太陽光。
なんとも気長なトリックではあるが、まぁ、ほぼほぼ即席なものと考えれば妥当か。
失恋してしまった飯村ですが、志賀はあんな男でしたからね。変に長く恋い焦がれることがなくなって、結果的にはよかったのかもしれません。
死滅回遊
気が付くと圭子はいなかった……。
あわてて探した。けど手遅れで……。
もう潮に流されてたんだ。あいつも……オレも……。
犯人は、鶴岡宣明。
口喧嘩でかっとなって殺したのであった。
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スキューバダイビングのお話。
死滅回遊というものがあるらしい。
森羅はダイビングもやるらしい。スノーボードといい、意外とアクティブなことをするもんだ。
海の中で鯨に出会ったら、私だったら狂喜より恐怖の方が先行すると思う。万が一、丸のみされたらどうするんだ。
常々思っているのですが、鯨って(誤飲含め)人を飲み込むことってあるのだろうか。その人はどうなるんだ。
ちょっと検索しても、そういう前例なさそうかな。毎年報告されてもおかしくないような話だと思うのだが……。
鶴岡夫婦が、互いに愛し合っていることを確認してめでたしめでたし──とはいかず。圭子は実際に、宣明に殺されていました。

ひどい……。
1度解決したと見せかけて、さらに続きがあるという展開は、Q.E.D.シリーズ含め意外と少ないかも? よくもまぁこの展開を、短編で詰め込めたもんだ。プロット組むのも、大変だろうに。
犯人を信じていた花笠が、ある意味1番かわいそうかもしれない。
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