【1億3千万人の被害者】冤罪事件の復讐? & 【メテオライト】隕石は誰の物なのか。 & 【櫛野村忌憚】過去へタイムスリップした森羅たち。 & 【牡山羊の像】博物館の模様替え中に盗難事件が。
タイトル | C.M.B.森羅博物館の事件目録(8) |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 2008年6月17日 |
C.M.B.森羅博物館の事件目録(8) https://t.co/pYccQ38YDJ
— ウエスト記伝 (@west_kiden) January 19, 2019
あらすじ
1億3千万人の被害者
鉄橋爆破
鯨崎警部に届いた手紙。そこには「1億3千万の人間」が被害者となる事件を起こすと記されていた。詳しく調べてみると、手紙の差出人は冤罪事件で3年間も服役していたらしく──。
メテオライト
消えた隕石
隕石が落ちたとされる場所。そこはロシアとカザフスタンという、因縁浅からぬ2つの国が関係する所だった。隕石は誰の物かを裁定することになった森羅。だが、隕石の本体が見つからず──。
櫛野村忌憚
タイムスリップ?
過去と思わしき場所に飛ばされた森羅。近くの村は最近、謎の病が蔓延してしまったことを聞く。元の時間に戻るには、何かの謎を解かないといけないと推測するが──。
牡山羊の像
狙われた像
博物館の模様替えをしていた森羅。しかし運送業者の中に、展示品を盗み出そうとする者が混じっていた。七瀬の活躍により、なんとか盗難を阻止できたはずだったのだが──。
—以下ネタバレ感想—
犯人、トリックについても言及しています。
ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。
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1億3千万人の被害者
悪いジョークだよ……。
父さんが刑務所に入れられ……家は追い出され、母さんは自殺に追い込まれた。
なのにホラ……加害者だって人間はただの1人もいないんだ。
犯人は、隆明。
家族をめちゃくちゃにした世間への復讐だった。
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父親が冤罪で逮捕されてしまった少年の、悲しい復讐劇。
50時間の張り込み後の20kmマラソンとか、鯨崎警部は化け物か。今度オリンピック競技に採用してみてはいかがだろうか。絶対、どこからか怒られると思うけど。
ちょっと調べてみるとオリンピックにも、過去にいくつか珍競技と呼ぶべき種目があったみたいですね。”綱登り””芸術競技””障害物水泳”などが採用されていたとか。
最近はeスポーツが、オリンピック競技入りするように動いているところもあるらしい。全世界でスーパーマリオブラザーズのRTAでも競えば、盛り上がるんじゃないですかね(適当)。
匿名掲示板はともかく、ニュース番組の司会だかコメンテーターだかが、こんなやつは死刑ですよ、と煽るのはさすがにやばいのではなかろうか。
ミルグラムの実験、というものが行われたことがあるらしい。
教師役と生徒役を壁1枚を隔てて待機させる。生徒が問題を間違えるたび、教師は目の前のボタンを押す。すると電流が生徒に流れる。問題を間違い続けると、どんどん電流が強くなっていく。「いつスイッチを押すのを止めるか」という、教師役の人間の行動を調べる実験だったらしい。
恐ろしいことに2/3の人間が、死の危険があるレベルまでボタンを押し続けても実験を止めなかったそうだ。
人はその場の雰囲気に流されやすい生き物であり、倫理観は必ずしもブレーキにならないことの証明らしい。
メテオライト
隕石を手に入れるのにふさわしい人間には3種類いる。
運よく拾うやつと、大枚はたいて買うやつ、それに……。
お前みたいな、頑固なバカだ。
隕石が落ちたのは、3日前じゃなかった。
羊飼いの少年が嘘をついたのだった。
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隕石をめぐるいざこざのお話でした。
隕石ハンターという職業は、実在するんですね。
隕石は1g数百円らしい。1g200円として発見されたのが500kgなら、1億円。なかなか夢のある話だ。
もっとも、そうそう簡単に隕石が入手できないことぐらい、素人の私でもわかる。なかなか博打な職業だろう。
日本にも隕石が落ちることはあるらしい。気になる人は、調べてみてはいかがだろうか。
日本で隕石といえば、榎本武揚(えのもとたけあき)が有名だろうか。隕石で作った刀『流星刀』は、彼の自費で購入した隕石が使われたらしい。
余談ですが、この人とは無関係である。
隕石で刀を作るなんて、すごい!
日本の法律で、見つかった隕石の処遇はちゃんと定められているらしい。
地中に埋まっていれば土地の所有者のもので、地上に落ちていた場合は発見者のものになるそうだ。
日本人である森羅の裁定により、隕石は無事、地元民のものになりましたとさ。国家間の余計な火種にならなくてよかったよかった。
櫛野村忌憚
やっと止めてもらえた。
本当に……ありがとう。
悲劇の原因は、村長。
女性を口封じで殺害しようとしていたのだった。
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ちょっと不思議なお話。姉妹作のほうでも、ときたまこのような摩訶不思議な現象が発生することがありますね。
個人的にはあまり気にならないけど、こういうミラクル展開を嫌う人は、ミステリー好きには多いかもしれない。
病気の正体は、ハンタウイルスでした。
少し前に話題になったエボラ出血熱は、蝙蝠が宿主というのが有力な説らしいですね。
相対死(あいたいじに)という言葉は、本当にあるのか。
心中が美化される傾向を防ぐため、8代将軍徳川吉宗が動いたらしい。心中ものの出版、上演を禁止したそうな。心中した者にも、厳しい罰を与えたとか。
意外にも森羅はスノーボードが上手。七瀬と珍しく張り合っています。いくら腕に自信があるとはいえ、『この世の終わり』と書かれたゴンドラには乗らなくても……。
いつの時代にも、セクハラ親父はいるんだな。
牡山羊の像
博物館の仕事をよく引き受けていた崖縁さんらしい……。
そして良心に従った精一杯のヒントだったんだ!
像は、2回すり替えられていた。
2回目の盗難は、ただの偽装だったのだ。
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博物館の模様替えに関するあれこれ。
運送業者って、こういうのも生業としているのか。
狙われたのは、牡山羊の像。
ほんと、貴重な物を展示している博物館だことで。
奇跡的に空を飛ぶアビヨン3型に笑った。どんな脚力しとるんだ。
トリックは、2度の窃盗。
ぶっちゃけ2回目のは余計だったのではなかろうか。森羅がすぐに見抜けないほど、精工な偽物だったわけだし。1度の交換した後、さっさと逃亡すればよかったのに。
渡の動きが、読者を惑わすようにできているのはよくできている。
最初の交換時、安心しているような表情をしているのは、交換が行われなかったことに対してではなく、交換がバレなかったことに安堵していたんですね。
2回目の時も、良心の呵責から動いたわけではなく、それも作戦のうちだったと。
入り口に動物が密集しているのは、正直ちょっと怖いと思う。夜間に博物館を訪れた人は、当分悪夢にうなされそうだ。
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