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C.M.B.森羅博物館の事件目録(17)

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【プリニウスの博物誌】ベルリンの壁。引き裂かれた親子の運命。 & 【隠れ里】脱出できない山の謎。 & 【モザイク】世界的な建築家。壁の中に死体はあるのか。 & 【幻の車】つくば号と駆けた男の野望。


タイトル C.M.B.森羅博物館の事件目録(17)
著者 加藤元浩
レーベル 講談社コミックス
初版発行 2011年6月17日


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あらすじ

プリニウスの博物誌

ウソばかりの本

1980年、ドイツ。壁によって東西に分かたれたベルリンで、西側に逃げようとしていた親子がいた。トラックに隠れ検問所を抜けようとしたとき、運転手が警備兵に呼び止められて──。


隠れ里

迷いやすい場所

七草がゆを自分たちで作ることになった森羅たち。あとはスズナ(カブ)、スズシロ(ダイコン)だけとなり、畑の持ち主に売ってもらうことに。しかし不思議な道に迷い込んでしまい──。


モザイク

設計事務所の事件

南条は世界的に有名な建築家。自宅でテレビの取材を受けていると、彼と同じ設計事務所の北見が乱入してきた。「壁を壊せ! そこに西岡先輩が埋まっている!」北見はそう叫んで──。


幻の車

男の夢と野心

部品交換会にやって来た森羅。かっこいいカーマスコットを買い取るため、とある依頼を受けることになった。幻の車『つくば号』。そのハンドルを探してほしいというものだったが──。


—以下ネタバレ感想—

犯人、トリックについても言及しています。

ぜひ実際読んでから、スクロールしてくださいね。

プリニウスの博物誌

『プリニウスの博物誌』にはウソの力があった。

けど真実にはウソにはない価値がある。

 

バッケルの言葉は、誤解。

警備兵ではなく、エリクに向けた言葉だったのだ。

なんとも紛らわしいセリフを吐いたもんだ(笑)。

話の舞台は、ベルリンの壁に分かたれたドイツ。

ベルリンの壁
1961年から1989年まで西ベルリンの周囲を取り囲む形で東ドイツが建て東西を分断していた壁。

わりとつい最近の出来事なんですよね、これ。

だいぶ昔ですが、私はてっきりこの壁でドイツを均等に2分割にしていたのだと思っていたのですが、そうでもないんですよね。地図で見ると、案外ちっちゃかったりします。

話の中心にあったのは、プリニウスの博物誌、という本。

プリニウスの博物誌
古代ローマの大プリニウスが著した書。全37巻。地理学、天文学、動植物や鉱物などあらゆる知識に関して記述している。非科学的な内容も多く含む。

奇妙な本として人気があるらしい。日本語にも翻訳されているそうですよ。

ウソまみれの著作といえば、『台湾誌』というものもありますね。日本や台湾の風習がねつ造されまくっていて、逆に傑作扱いされているとか。

物凄い悪人に見えたバッケルでしたが、実はかなりの良心の持ち主でしたね。ウソにも価値があるというのは、15巻の『キルト』にも通ずるものがある。

 

ハリ
ハリ

ウソにも、いろいろあるよね!

 

余韻を残すという意味では、このラストで合っているのでしょう。しかし個人的には、もう数ページ先まで物語を読みたかったかなぁ。


隠れ里

でもここまで見事にやられると、本物の”隠れ里”に思えちゃうね。

 

犯人は、引田。

不用意な1言にカチンときての、ちょっとしたイタズラだった。

横槍の余計な言葉のせいで、ちょっと不思議な体験をしたお話。

七草がゆは、昔からある風習です。

七草がゆ
人日の節句(1月7日)の朝に食べられている日本の行事食。7種とは、セリ,ナズナ,ゴギョウ,ハコベラ,ホトケノザ,スズナ,スズシロ。

毎年食べているけど、自分で山菜採りをしたことはないなぁ。というか私じゃ、草の見分けがつかないし(笑)。

隠れ里は、日本各地に残っている伝説。

隠れ里
山の中にある別世界のこと。山奥や洞窟を抜けた先などにあると考えられた。

物語序盤から、これでもかといわんばかりに描かれている『通行止め』の文字。ちゃんと伏線がはってあるのはさすがです。

口は禍の”元”じゃないのかなぁ、と思ったけど、口は禍の門という表記もあるんですね。しかもこれ読み方が、【くちはわざわいのもん】でも、【くちはわざわいのかど】でもいいらしい。

 

ハリ
ハリ

日本語って難しい……。

 

選挙に落ちたときに道路の事を指摘されたら、まぁカチンときますわな。ラストはまさかの、おじさんのVサイン。ずいぶんとお茶目なじいさんだことで。

ところで、クラスメイトで集まって七草がゆを作るとか、仲良すぎやな。現実世界で、そんな経験した人存在するのかなぁ。


モザイク

あなたは犯人でしか知りえない事実を最初にハッキリ言っている……。

「モザイクの向こうに死体がある」──と。

 

犯人は、北見。

設計事務所のナンバー1と2を排除し、自分にチーフの座が回ってくるようにしたのだった。

なんとも自分勝手な犯人。被害者に落ち度がないのも後味が悪い。

モザイクというと、別のものを想像してしまう。

モザイク
小片を寄せあわせ埋め込んで、絵(図像)や模様を表す装飾美術の手法。

一般的にモザイクというと、エログロを規制するための映像処理の方を思い浮かべるのではなかろうか。

壁の中から死体が出てくるシーンは、恐怖そのもの。というか壁を壊さなかったら、南條はこんなものが隠されている場所で生活するハメになったのか。それはそれで、嫌だな……。

最後の2ページで真犯人を指摘して、証拠の証言まで披露するとは……。ページ数ギリギリの推理シーンでしたね。


幻の車

きっと走るさ。ハンドルも元に戻って……。

ずっと走って行くんだ……。

見果てぬ地平線へ──。

 

銃を撃ったのは、忠典。

父親が許せずに発砲したのだった。

夢を追って夢に狂った男性のお話。

つくば号、という伝説の車があるらしい。

つくば号
筑波号。130台も作られたが、現存しているのは1台しかない。日本車として初めて前輪駆動方式を採用した。

その残っている1台は、トヨタ博物館に展示されているそうですよ。

『前輪駆動という特徴の車』と『車庫のスリップ痕』を照らし合わせ、駐車の仕方を見抜き、弾丸の位置がおかしいことに気付くとはさすが森羅。

自分の稼いで貯めた貯金に手を付けられたら、キレるのは当たり前。発砲されても文句は言えない。父親の情けない姿を見て、家を飛び出したくなるのもまたしかり。

ところで部品交換会って本当にあるのね。マニア垂涎の物も流れてくるのかな。私は行っても楽しめそうにないけど……。

ルネ・ラリックのカーマスコット。検索してみると、【開運!なんでも鑑定団】に出てきたものは55万円の価値があったそうな。

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