赤道直下にある小さな島。
そこではあらゆる愛が許される──その2人が本当に愛し合っているなら。
タイトル | すべての愛がゆるされる島 |
著者 | 杉井光 |
レーベル | メディアワークス文庫 |
初版発行 | 2009年12月16日 |
メディアワークス文庫の第一弾として発表された一作
2009年。
電撃文庫を読んでいた世代が社会進出し始めることを受け、それらの年齢層の人にも読んでもらおうと、一般文芸を多く取り入れたレーベルが創刊されました。
それがこの、メディアワークス文庫です。
キャッチフレーズは、「ずっと面白い小説を読み続けたい人たちへ―」です。

わかりやすいキャッチフレーズ。嫌いじゃないわ。
その第1弾の中に、この作品「すべての愛がゆるされる島」の名前がありました。
大人向けというだけあって、電撃文庫ではあまり見られない、禁断の愛が話の主軸となっています。
著者の杉井光さんは、「さよならピアノソナタ」「楽聖少女」といった音楽を題材にしたものや、「神様のメモ帳」「生徒会探偵キリカ」など、ミステリーを執筆することもある作家さんです。
個人的には、コミカルなシーンはきっちり抑えつつもシリアスなシーンははっきりと書くタイプかなぁ、という印象です。
優柔不断な男主人公が多く、地の文も心理描写でびっしり埋め尽くされていることも多々あったような気がします(他作品読み返してみて、そうでもなかったらごめんなさい)。
許されざる愛の行く末は
「親と娘の愛」「姉と弟の愛」。
当然、社会的には認められていません。
それでも登場人物たちは、それらの答えを求め、炎天下の孤島にはるばるやってきます。
「本当にそんな島があるのか」「教会に鳴り響く音色の秘密とは」「扉の先に何があるのか」「”愛”とはなんなのか」
登場人物たちはさまざまな思いや疑惑を胸に秘め、その答えを見つけるために島を目指します。
じっくり読んだほうがいいかも
登場キャラクターの人数は、そう多くありません。主要人物に限って言えば、”4人”といえるでしょう。
ただ、視点がちょくちょく入れ替わったり、見た目は細い本に見えるのですがけっこうぎっしり字がつまっていたりします。
できれば時間がたっぷりあるときにいっきに読んだほうが、楽しめるかもしれません。
終盤まで読めば、ああなるほど、と納得できると思います。
悲しくも切ない”愛”の物語、1度目を通してみてはいかがでしょうか。
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