悲しくも美しい、白い死神の物語。
タイトル | しにがみのバラッド。 |
著者 | 和泉明日香 |
原作 | ハセガワケイスケ |
レーベル | 花とゆめCOMICS |
初版発行 | 2006年3月10日 |
原作は電撃文庫の作品
白い死神、といっても冬戦争で活躍したシモ・ヘイへのことではないですよ(笑)。
2003年、電撃文庫から発刊された、詩のような、非常に独特の文体が特徴的な作品です。
主人公のモモは全身が真っ白の死神です。長く美しい髪も、ワンピースのような服も、透き通るような肌も白い。
一見クールで冷たいように見えるけど、実は温情あふれる、心優しい性格をしています。人の死にふれて涙を流したり、ときには命を救ってしまうこともあります。
その異様な見た目と性格から、他の死神から『ディス』とあだ名されています。
名前はモモです。死神のライセンスIDがA-100100号なのでそう名付けてもらいました。
相棒は黒猫のダニエル。大きな鈴のついた首輪が特徴の、喋る猫です。翼をはやして飛行することもできます。一応人の姿にもなれます。
モモの名前をつけたのは、このダニエルでした。モモの世話役であり、頼れる相方として物語に関わってきます。
この2人が人間たちの生きざま、ないし死にざまを見守り、ときには助け、ある時には死人の最期の言葉を生者に届ける。
そんな悲しくもうつくしい、詩情のような雰囲気の作品となっています。
少女マンガらしい、きれいな作画
ライトノベルのほうのイラストは、七草さんが担当しています。
このマンガ版では、和泉明日香さんが描いています。
タッチがきれいで線が細かく、表情豊かに描かれています。原作の空気を、美麗に表現できていますね。
あと少女マンガによくある柱(ページの横にときどきあるスペース)に、モモのかわいいコスプレ挿絵が入っているので必見かもしれません。
原作と同じ短編集
見た目は大変かわいらしいモモですが、死神という設定上、人の死をいくどとなく目撃していくことになります。
そこには当然絶望や涙があり、モモが残された者とどう接し、どう説くのか。
あまり説教くさくないので、読んでいて読後感がいいのも特徴かもしれません。
悲しいお話は、やだなぁ……。
また、1つ1つのお話は、原作と同じで短編となっています。
基本的に男女が登場し、どちらかが死、もしくは死の危険が迫っているところにモモが現れる形となっています。
面白くもどこかさびしい、そんなノスタルジックな作品を読みたい人にお勧めしたい1作です。
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