MITを主席で卒業した天才少年と、猪突猛進でスポーツ万能少女。
難解な謎を、デコボココンビが痛快に解き明かすミステリー。
タイトル | Q.E.D.証明終了 |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 1998年12月16日 |
推理マンガの二大巨頭といえば……
ぱっと思いつく推理マンガといえば、何が思い浮かぶでしょうか。
週刊少年サンデー連載中の『名探偵コナン』。
最近37歳にふけた『金田一少年の事件簿』。
この2つを挙げる人が、ほとんどだと思います。
では5大推理マンガを問われたら、あとなにを加えますか?
『探偵学園Q』や『スパイラル 〜推理の絆〜』なんてどうでしょう? 古すぎて、最近の若い方々はわからないかもしれませんね(笑)。
コナンや金田一以外、ぱっと思いつかない人も多いでしょうか。
それほどこの2作の知名度が、ありすぎるのかもしれませんね。
国民的人気マンガってすごいよね!
私が5大推理マンガを聞かれたら、間違いなく本作『Q.E.D.証明終了』と、姉妹作品『C.M.B.森羅博物館の事件目録』と答えますね。
あと1つは……そうですね。『秘密警察ホームズ』ということにしておきましょう。
本作『Q.E.D.証明終了』は、最初マガジンGREATで連載が始まり、マガジンイーノ、月間少年マガジン+と変遷、現在は少年マガジンRで連載されている長期連載推理マンガです。
姉妹作品に、世界観を共有している『C.M.B.森羅博物館の事件目録』があります。
2018年11月時点で、61巻、C.M.B.を加えれば100巻を超える長寿作品となっています。
単純な発刊数だけでいえば、なんとあの名探偵コナンを抜いていることになります(もっとも、コナンはスピンオフや映画のマンガ版もあるので、単純計算はできませんが)。
しかし知名度は、残念ながらあまり高くないのが実情かもしれません。1番の原因は、連載雑誌がマイナーよりというのがでかいと思われます。
内容だけでいえば、コナンや金田一にも勝るとも劣らないと、個人的には思うのですが……。
超天才少年とおてんば少女
他人にあまり興味がなく、自分の時間は自分のために使いたいとはっきりいう少年、燈馬想(とうまそう)が主人公です。
クールで基本的には静かな彼は、一見主人公らしくみえないかもしれません。
しかしひとたび事件が起きれば、膨大な知識と論理的思考で犯人を見つけ出す卓越した頭脳を持っています。
何を隠そう想は、15歳でMIT(マサチューセッツ工科大学)を主席で卒業した超天才なのです。本来であれば、日本で高校生なんてしなくてもいい身分なのでした。
マサツーセッチュ……マサチューセッチュ……い、言えない……。
そんな彼は、自分の人生に疑問を持ち、日本にある普通の高校に特別に編入。
その高校にいたのが、本作のヒロインかつワトソン枠である、水原可奈(みずはらかな)です。
猪突猛進とおてんば娘を足して割らないような明るい性格で、本来は平穏な日常を好む想のもとに事件の話を持ち込みまくる(彼にとっては)トラブルメーカーです。
身近に問題が起きると見て見ぬふりはできず、自ら足を踏み入れ、想に事件解決を強要する豪胆なところがあります。
意外にも料理ができ、また探偵ばりの調査能力を発揮し、事件のヒントを想へ届ける行動的な部分もあります。
想のことは、少なからず想っている様子。
そんなデコボココンビが、次々に巻き起こる事件に立ち向かっていくのが本作『Q.E.D.証明終了』です。
殺人、ばかりではない
本作の特徴の一つと言えば、事件推理、もしくは解決のときにたびたびでてくる、論理問題でしょうか。
超ひも理論やプレ二アム懸賞問題などが登場し、可奈と読者の脳みそを混乱させてきます。
かなりかみ砕いて説明してくれるのですが、もとがもとなだけにかなり難しいです。そういうときは、作中の可奈と同じように、他のことをして聞き流してしまっても大丈夫です(笑)。
また大きな特色として、殺人以外の事件を取り合う使う件数がとても多いことでしょうか。
いわゆる、日常の謎系のミステリーですね。
日常の謎、いいよね!
数えてないのですが、殺人と非殺人の割合は5分5分くらいじゃないでしょうか(全然違ったらすいません……)。
これほどの長期連載推理マンガで、多くの日常の謎を取り扱ってくれる作品は珍しいですね。もっとも、こんな長い間連載してる推理作品は、コナンや金田一くらいで比較しにくいですけれど……。
そういう意味でも、希少な作品となっております。
個人的には38巻の『十七』が印象深いですね。
江戸時代に一人の少女が、ついぞ解けなかった数学の謎を未来の誰かに託し、それを想が解明するというロマンあふれるお話でした。
全巻読むのは大変かもしれませんが、ぜひ1度読んでみてほしい作品であります。
②へ
Q.E.D.証明終了(1) (講談社コミックス月刊マガジン)
コメント欄