構想7年、制作期間3年は伊達じゃない!
とても1日では読み切れない、重厚な弥生ファンタジーの傑作本。
タイトル | ヒミコ伝 ”和”を誓った最初の女王 |
著者 | 加納眞士 |
初版発行 | 2008年8月15日 |
弥生時代が舞台の本は……
一時期、弥生時代の物語が猛烈に読みたくていろいろ調べていたのですが、あんまりないんですよね。
やっと発見できたとしても、もう入手困難だったり、そもそも打ち切りで話半分で終わっていたりで、これだというものがなかなか見つからなかったんです。
そんなときに目に入ったのが、本書。ヒミコ伝 ”和”を誓った最初の女王でした。
ただ最初は、買っていいのか正直迷いました。真っ赤な外見なうえ辞書みたいな見た目のインパクトもさることながら、4000円近いお金を書物1冊につぎ込んでいいものかどうか、と。基本的には、本1冊で500円前後ですからね。
結論から申し上げると、買って正解でした。
内容は、壮大な恋愛ファンタジーもの
主人公ヒミコを中心に、施政や外交問題に触れつつ、彼女をめぐる恋愛模様を描いた大作です。
また国外の暗殺部隊がヒミコの命を狙って来たり、邪馬台国連合と相対する狗奴国(くなこく)の王、ヒミコミノタケルとの激突を描いたりといった、弥生時代の黒い部分も鮮明に表現しています。
暗殺部隊……。ぜひ、お手合わせ願いたいものね。
国内外を通じ多くのキャラクターが登場し、それぞれの目的や野望を交差させつつ物語は進行します。
たとえば物語途中、1人の男性が登場します。彼は高句麗の、凄腕の暗殺者でした。高句麗の脅威になるようなら、ヒミコを抹殺せよという密命を受けます。
彼は海を渡る際、船の事故にあい、記憶を失った状態でこちらの大陸に流れ着きます。もちろん、自分がアサシンであることも忘れてしまいました。
そんな男性とヒミコが出会い、お互いを強く意識してしまいます。殺し殺されの関係など、もちろん2人は知りません。
果たして彼が記憶を取り戻したとき、物語はどのような展開をむかえるのか。ネタバレになってしまうので、内容に触れにくいのがとても残念です。
ファンタジー要素としては、符術合戦と称して雨ごい対決をしたり、雷を火山に落として噴火と止めたりします。
圧巻のページ数
1250ページにもおよぶ壮大な物語は、とても1日で読める分量ではありません。どっしりと腰をすえて読むことをオススメします。
また各所に差し込まれる雑学や、スピリチュアルな豆知識など、ストーリー外でもおおいに読みごたえがあります。あまりに詳しく書かれているため、私にはよくわからん、という部分もけっこうありました(笑)。
お値段も安いとは言えず、総ページ数もかなりありますが、読むだけの価値がある作品だと思います。
ぜひ1度目を通して、弥生時代に生きた人々の生活に思いをめぐらせてみてはいかがでしょうか。
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