驚異の部屋(ヴァンダー・カンマー)をご案内します。
博物館館長の不思議な少年と、正義感の強い少女が、博学を武器に事件を解決するミステリー。
タイトル | C.M.B.森羅博物館の事件目録 |
著者 | 加藤元浩 |
レーベル | 講談社コミックス |
初版発行 | 2006年3月17日 |
五指に入る名作推理マンガ
有名な推理マンガを問われたら、大体の人が『名探偵コナン』か『金田一少年の事件簿』をあげると思います。
それほど、その二つのネームバリューは圧倒的です。
本作『C.M.B.森羅博物館の事件目録』は、知名度では勝負にならないかもしれないけれど、その2大巨頭に匹敵するほどの面白さを内包した作品だと思います。
2005年、月間少年マガジンにて連載がはじまった本作は、現在(2018年)にいたるまで連載され続けている長期推理マンガです。
既刊39巻。
姉妹作品であり世界観を共有している、『Q.E.D.証明終了』と合わせると、合計で100冊を超える人気作品群となっています。
探偵役は世間知らずの不思議な少年
驚異の部屋、という物を知っていますか?
15世紀~18世紀のヨーロッパで、いろいろな珍しい物品を陳列するために作られた部屋のことです。
ドイツ語だと、ヴァンダー・カンマーと読みます。
あの有名な大英博物館は、ハンス・スローン卿の『驚異の部屋』にあった収集物をもとに作られたそうです。

大英博物館、1度は行ってみたいよね!
主人公である榊森羅(さかきしんら)は、『驚異の部屋をご案内します』と決め台詞を言ってから、事件解決シーンに入ります。
なぜわざわざそんな難解の言葉を使うのか。それは題名でもある『C』『M』『B』の文字が記された指輪に秘密があります。
大英博物館が近代化したとき、シャーロット女王が有能な人物と認めた者に下賜した三つの指輪がありました。
「知の守護者」の証として授けられたその指輪には、それぞれ『C』『M』『B』の文字が記されています。
その指輪の効果は絶大であり、指輪を1つでも提示すれば、世界中のあらゆる文献や学術作品にアクセスできる権限を有しています。
しかもそれらにかかる費用はすべて、大英博物館が全費用を負担してくれるというおまけつき。
そんなマジックアイテムのような3つの指輪は、所有者が認めた1番弟子に受け継がれ現代にいたっています。
そしてその指輪すべてを所有しているのが、主人公である森羅なのでした。
つまり森羅と大英博物館は、深い縁でつながっているのですね。
そんな超絶な力を手にしている森羅ですが、日常生活をおくるための知識はだいぶかけています。
自動販売機から商品を取り出すすべをやっと思いつくも、缶の開け方がわからずバーナーで焼き切ろうとしたりします。

ハリでも缶くらい開けられるよ。
不安定な物干し台を、1人で作ろうとしてあっけなく崩壊したこともありました。
そんな危なっかしい森羅ですが、博学知識に関しては膨大な量を有しています。前の指輪の持ち主である3人から、多大な知識を与えられた森羅は、その卓越した頭脳を持ってして事件を解決していくのです。
そんな森羅を支えるのが、ヒロインである七瀬立樹(ななせたつき)です。
合気道でストレス発散するような元気っこですが、なんの因果か良家のご子息ご令嬢が通う名門校に通うハメになり、猫をかぶりながら学生生活を送っています。
そんな2人が、学校で起きた殺人事件で出会い、そこからいくつもの難事件を解決していくことになるのです。
見どころは毎回出てくる知識
CMBの指輪の持ち主である森羅が探偵役なだけに、事件内容や解決方法に必ずといっていいほど、彼の博識が披露されます。
古代文明や遺物、動物や植物の知識はもちろん、はては幽霊騒動などの怪奇現象まで。
1巻では『人体発火』、『エダナナフシ』、『ブータンシボリアゲハ』、『鉱石ラジオ』などが出てきます。
多岐にわたる含蓄が出てくるので、読者を飽きさせません。
また途中から登場する、ブラックマーケットの魔女とのだまし合いも必見です。
古代の知識や物品、多方にわたる識見に興味のある人は、1度手に取って読んでみてはいかがでしょうか。
C.M.B.森羅博物館の事件目録(1) (講談社コミックス月刊マガジン)
コメント欄